2023 Fiscal Year Research-status Report
協同的な推敲活動におけるピアの匿名性および識別性の効果に関する教育心理学的研究
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20K03356
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
深谷 優子 國學院大學, 文学部, 教授 (00374877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 洋子 千葉工業大学, 創造工学部, 助教 (70406651)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 協同 / 作文 / 筆名 / 読解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、5年の研究期間で1) ピアの匿名性および識別性の程度が書き手の推敲および思考態度に及ぼす影響の解明、2) 協同的な推敲活動において書き手にとって不安や懸念を低減する条件の特定、3) 1)および2)の成果に基づき、書き手の不安・懸念を低減した、より効果的な読解力育成および作文支援としての協同的な推敲活動のプログラムの開発、を目的とするものである。第4年目にあたる令和5年度は、これまでに得られた上記1)及び2)の研究成果を踏まえて、教示による介入が、実際に書き手の不安・懸念を低減する効果があるかを検討した(研究目的3)。 ピアレビュー方式の協同的な作文推敲活動において、参加者が抱きやすいピア由来の心配や不安が、教示による介入によって低減可能かを検討した。大学生を対象とし、1)課題作文作成、2)ピアレビュー活動、3)リフレクション、から構成される協同的な作文推敲活動のセッションを3回行った。分析対象の62名の大学生のうち、1回目セッションの際のピア由来の心配や不安を覚える参加者が約半数いたことから、彼らの3セッションでのピアに由来する心配や不安の変化を分析した。その結果、協同的な活動に際してのピア由来の懸念は、実際に協同的な活動を経験することで漸次的に低減していくと考えられるものの、単に協同的な活動を複数回経験するよりも、教示による介入を活動とを組み合わせるほうがより効果的に低減していく可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、1) ピアの匿名性および識別性の程度が書き手の推敲および思考態度に及ぼす影響の解明、2) 協同的な推敲活動において書き手にとって不安や懸念を低減する条件の特定、3) 1)および2)の成果に基づき、書き手の不安・懸念を低減した、より効果的な読解力育成および作文支援としての協同的な推敲活動のプログラムの開発、を研究目的としているが、これまでに1)及び2)を終え、3)の試案の検討まで行っており、データ収集、分析、発表は概ね計画通りに進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である令和6年度は、これまでの研究成果を踏まえて、研究目的3について、参加者がより安心して協同的な活動に十全に取り組める協同的な推敲活動プログラムとして開発・提案する予定である。
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Causes of Carryover |
対面開催の学会への参加及び調査・研究打ち合わせに要する旅費が当初予定よりも少額となり、旅費を繰り越すこととなったため。次年度の対面学会参加費及び調査・研究打ち合わせの旅費として使用予定。
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