2023 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児期における低線量汚染地域での生活が子どもの社会的情動性の発達に及ぼす影響
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20K03358
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
筒井 雄二 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (70286243)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 原子力災害 / 心理的影響 / 放射線不安 / 発達 / 社会情動性 / 内在化問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
東京電力(TEPCO)福島第一原子力発電所の事故は福島で暮らす母子に放射線への不安や強いストレスなど深刻な心理学的影響を与えてきた。我々は原発事故直後から福島で暮らす母子を対象に原発事故と関連するとみられる精神症状や放射線不安など,心理学的影響について継続して調査を行ってきた。また,それと同時に原発事故に起因するとみられる心理学的影響のメカニズムについても研究を重ねてきた。更に2014年の調査では,251組の母子を対象にした訪問調査を行い,低線量放射線汚染地域で過ごした子どもたちに社会情動性の発達を中心とした心理的発達の問題が引き起こされている可能性を指摘した。 本研究では2014年の調査で指摘した問題,すなわち,原発事故当時,福島で暮らしていた子どもたちに心理的発達や社会情動性の問題が広く起こっているのではないかという可能性を,調査研究により裏付けることを研究の主たる目的とした。 令和3年度には社会情動性の発達に関する追跡調査を実施し,令和4年度には福島県全域や他県にも調査対象者を広げて,社会情動性の発達に関する広域調査を実施した。 今年度はここまでの調査結果を分析し,原発事故当時,福島県内で暮らしていた子どもたちに不安,抑うつ,その他の心身症状など,いわゆる内在化問題行動が他県に比べて多く認められることを見出した。また,これらの研究成果を整理し,2023年9月にウィーンで開催されたWorld Congress of Psychiatry(WCP 2023)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究期間中,COVID-19のパンデミックによる影響があり,調査の開始時期を遅らせた。具体的には,令和2年度に開始する予定であった調査を1年延期し,令和3年度に第一調査を実施し,翌令和4年度に第二調査を実施した。何とか令和5年度にはそれらの成果を一定程度集約し,9月に開催された国際学会で報告することができたが,それらを論文化する作業が残されている。これは研究期間をさらに1年間延長し令和6年度に実施したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の延長が認められたため,令和5年度までに研究成果の一部を国際学会で報告することができた。先にも書いたように,残された課題として研究成果を論文化し,原発事故に関する心理学的影響の事実を研究者に伝達する作業を遂行しなければならないと考えている。
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Causes of Carryover |
本研究の研究成果を論文としてまとめる作業に年度内に至らず,その予算を執行することができなかった。令和6年度中に同予算を利用し,研究成果を論文としてまとめたいと考えている。
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Research Products
(1 results)