2022 Fiscal Year Research-status Report
小中学校における「児童生徒の疑問に基づいた授業」の開発
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20K03359
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小山 義徳 千葉大学, 教育学部, 准教授 (90546988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 朋世 千葉大学, 教育学部, 教授 (00341967)
藤川 大祐 千葉大学, 教育学部, 教授 (50288429)
高木 啓 千葉大学, 教育学部, 准教授 (90379868)
道田 泰司 琉球大学, 教育学研究科, 教授 (40209797)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 探究学習 / 問い / 質問 / 心理的安全性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年に、介入を行った中学校のクラスでは、生徒の「心理的安全性」が高く、生徒が安心して「問い」を表出できる環境が整っていた。そこで、2022年は、昨年度介入を行ったクラスを担当した教員が、中学校1年生の4月の最初の授業から、どのような実践を行ったことで、生徒の「心理的安全性」を高め、生徒が自由に問いを表出する学習環境を整えたのか、質的と量的の2つの側面から分析を行った。4月の初回の授業から3回目の授業を参観し、生徒の「心理的安全性」の変化を記録した。1回目の授業では「音声情報」が人間に与える影響を体験する授業を行い、友達への悪口という音声情報が、人間関係の悪化を招く可能性について説明した。2回目の授業では、「静止画」を通して、同じものを見ても、過去の生活体験や価値観等の違いから、自分と他者では異なって見えることを、生徒に体験してもらっていた。3回目の授業では、「主観」,「客観」,「間主観性」を学び,「自己理解」について考える実践を行っていた。つまり、自分と他者の意見が異なること認識してもらい、異なる意見が出たときに、他者に対して必要以上に批判的になることを抑制させる環境づくりが行われていたと考えられる。その結果、生徒の心理的安全性が1回目から3回目の授業にかけて高くなり、生徒が「問い」を表出しやすい土台ができあがっていたと思われる。ただし、本実践は単一事例の実践であり、統制群を設けていない。そのため、今回の観察対象となった授業以外の要因の影響を排除できず、心理的安全性が向上した今回の実践の結果が、4月に行われた3回の授業によるものであるとは断定できない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの行動制限が緩和され、部外者が小学校や中学校の授業を参観できるようになった。しかし、当初の予定では1~2年目に予定していたことを、ようやく実行できており、当初の計画と比べ遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、小中学校における「児童生徒の疑問に基づいた授業」を行う際に、「心理的安全性」に加え、どのような学習環境を整えることで、児童・生徒が問いを生成し、探究的な学習につながっているのか検討を行う。
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Causes of Carryover |
2020年から2022年にかけて新型コロナウイルスの影響で、小学校や中学校における実践が計画通りに実行できなかった。また、学会もオンラインで開催されたため旅費として計上した予算がこの3年間使用できなかったことが次年度使用額が生じた主な理由である。次年度は、新型コロナウイルスによる制限も緩和されることが予想されるため、学校における実践を当初の計画通りに行い、対面で学会に参加して、これまでの研究成果を発表する予定である。
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