2020 Fiscal Year Research-status Report
協働学習において学習者が抱く困難・不安と教師による授業内外の支援に関する研究
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20K03361
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
一柳 智紀 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (30612874)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 協働学習 / 不安 / 困難 / 教師の支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、協働学習に対して学習者がどのような苦手意識や不安を持っているのかを明らかにするために、小中学生を対象としたアンケート調査を行った。結果、児童・生徒は「自分の意見を出すこと」に苦手意識を持っていたり、「間違えること」「他者の考えとの相違」に不安を抱いていたり、「相手に自分の考えが伝わっているかどうか」「相手に理解されないのではないか」「否定的に受け取られるのではないか」といった不安があることがわかった。 第二に、上記の知見を踏まえ、こうした困難や不安に対する支援として、どのような教師の働きかけがあるのかを探索的に明らかにするために、協働学習を継続的に実施している中学校教師の授業を観察した。その結果、「できたら確認してみて」と考えを確認する機会を何度も作ったり、答えに自信がない状況を見取るとさらに相談する時間をとったりするなど、学習者の学習状況に応じて柔軟に授業を再構成していた。また、教師の指示がなくても自然と交流することを、それがたとえ教師が説明している間であっても注意することなく、認めていた。また、「互いに違う考えだった場合に、どこが違うのか、なぜ違うのかを説明してあげて」や「言ってる意味がわかんなかったらどういうことか聞き返してあげて」など、教師は生徒にやりとりの仕方をその状況に応じて具体的に伝えていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、質問紙調査と観察を行うことができた。コロナ禍の影響により授業観察の回数が少なくなってしまったため、次年度において継続的に調査を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査の結果を踏まえ、新規に協働学習に対する認識を明らかにする尺度を作成する。その後、作成した尺度を用いてアンケート調査を行い、その信頼性と妥当性を検証する。 また、継続して授業観察を行い、協働学習に対する児童・生徒の不安や困難への教師の支援を明らかにするとともに、その中でいかに児童・生徒の不安や困難が変容していくのかを明らかにしていく。
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