2021 Fiscal Year Research-status Report
協働学習において学習者が抱く困難・不安と教師による授業内外の支援に関する研究
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20K03361
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
一柳 智紀 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (30612874)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 協働 / グループ / 不安 / 学級適応感 |
Outline of Annual Research Achievements |
質問紙調査により、小中学生が協働学習に対してどのような不安や苦手意識を持っているのかを明らかにした。また、協働に対する意識と学級適応感の関連を明らかにした。このとき小・中学生には相違も見られた。小学生においては、「他者の受容」「説明」「間違え・失敗」「正解かどうか」「考えを理解してもらえるか」「嘲笑・叱責」が中学生よりも多く見られた。これらは、自分の考えを理解してもらったり、相手の考えを理解したりと、「わかる」「わからない」といった点に関わっていることから、「認知的な困難」と関連のある不安だと考えられた。さらに、小学生においては「なかまはずれ」「協力」「話し合いの進行」「いざこざ」「おしゃべり・ふざけ」が中学生よりも多く見られた。これらは、ペアやグループで問題に取り組む上での意欲や動機に関わっていることから、「動機づけに関する困難」と関連のある不安だと考えられた。一方、中学生においては、自分だけが他のメンバーと違うこと、ペアやグループのメンバーに気を遣ったり、気まずさを感じることに不安や苦手意識を抱いている生徒が小学生よりも多いことが示された。これらは、認知的な困難に起因しつつも、グループのなかでの相互作用に意識があることから、「社会情動的な困難」と関連のある不安だと考えられた。また、小学生においては協働学習に対する肯定的な認識が学習行動や学級適応感へ、さらには学習行動も学級適応感へとつながることが示唆された。一方、中学生においては学級への適応感が協働学習に対する認識や学習行動につながることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
質問紙調査の結果を論文にまとめることができた。また、継続的な授業観察も実施することができた。次年度は観察を継続しながら、観察結果について分析していく。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査の結果を踏まえ、新規に協働学習に対する認識を明らかにする尺度を作成する。その後、作成した尺度を用いてアンケート調査を行い、その信頼性と妥当性を検証する。 また、継続して授業参観を行い、協働学習に対する教師の支援を明らかにするとともに、学級の中で協働学習に価値をおくグラウンド・ルールがどのように形成されていくのかを検討する。
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