2021 Fiscal Year Research-status Report
幼児期における魔術的な心と科学的な心の共存による発達プロセスの解明
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20K03364
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
富田 昌平 三重大学, 教育学部, 教授 (80342319)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 魔術的思考 / 科学的思考 / ファンタジー / 想像 / 認知発達 / 幼児教育 / 保育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目にあたる2021年度は,第1に,理論と実践とをつなぐために,幼児の魔術的な心と科学的な心とかかわる保育実践の論文や記録を収集・整理し,保育現場での観察や事例収集を行い,理論的枠組みの中に位置づける作業を行った。その成果の一部は,著書や論文,Web記事,雑誌のインタビューなどで幅広く一般に公開するとともに,学会のラウンドテーブル「保育のなかの科学2」で意見交換を行った。幼児における魔術的な心と科学的な心の共存の実態を実践的に把握し,両者を豊かに育成する上での大人の適切な発達理解と遊び心の重要性を示すことができた。 第2に,幼児を対象とした魔術的な心と科学的な心との間の揺れ動きに関する実験的研究を行った。具体的には,幼児は魔術的能力を持つアニメキャラクターの扮装物の真正性や実在性をどのように認識しているか,夢と現実での魔術的現象の実現可能性をどのように認識しているか,どのような人物が魔術的能力を持ち得ると認識しているかなどについて検討した。研究の結果,年長児は年少児・年中児と比べて,どのような人物が魔術的能力を持ち得るか/持ち得ないか,どのような場所で魔術的現象が起こり得るか/起こり得ないかについて適切に認識しているが,その認識発達は年長児であっても十分ではないことが示された。併せて,絵本の読み聞かせ場面や人形・ぬいぐるみ遊び場面の観察を通して,1歳児からの魔術的な心と科学的な心との間の揺れ動きの実態把握を行った。 2021年度は研究成果として,1編の著書(分担執筆)と3編の論文を発表した。 2022年度は文献検討の成果を論文としてまとめるとともに,引き続きいくつかの実験や調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関連する文献資料を数多く収集・整理・分類し,本研究の理論的基盤と方向性を明確にするとともに,いくつかの実験・観察研究を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は文献検討の成果を論文としてまとめるとともに,引き続き感染防止対策を十分に行いながら実験や調査を行う予定である。
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Research Products
(5 results)