2020 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of qualitative factors for encouraging toddler`s pretend play
Project/Area Number |
20K03366
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伴 碧 大阪大学, 基礎工学研究科, 特任講師(常勤) (30755658)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ふり遊び / ふりシグナル / 乳幼児 / 笑顔 / オノマトペ |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は想像力を働かせることで,まだ見ぬ未来を思い描いたり,目には見えない相手の気持ちを推測したりする(内田,1994)。しかし近年,保育,教育現場では「相手の気持ちがわからない」など,子どもの想像力の欠如が問題視されている。子どもの想像力を早期から促す重要な遊びとして,一歳半から始まる「ふり遊び」がある。これまでの研究は,子どもと大人のやり取りに焦点が当てられてきたが,どのようなやり取りが子どものふり遊びを促すか,具体的かつ実証的に検討した研究は未だ無い。 そこで本研究では,ふり遊びにおいて,大人がどのような働きかけを行うことが乳幼児のふり遊びを促すか,その種類や程度といった具体的な方法を明らかにすることを目的とした。 2020年度は,新型コロナウイルスの影響により,乳幼児を対象とした心理実験を対面で行うことが困難であった。他方で,本研究課題のプリビアスワークとして実施した実験ついて,データの解析,論文化を行った。この実験では,実験者が様々なふりの働きかけ(e.g.「笑顔」)を行う動画を,ディスプレイ上で乳幼児に提示した。その際,実験者のふりの働きかけの種類を操作し,どのような大人の働きかけが,乳幼児のふり遊びを促すかについて,分析を行った。その結果,ディスプレイ上に動画で提示されるのふり遊びにおいて,「発話(オノマトペ)」という働きかけが有効であること,一方で「笑顔+発話」といった種類の組み合わせのふりシグナルを提示すると,乳幼児は大人の行為が「ふりである」と理解するのが困難となることが示された。 コロナ禍で乳幼児と直接触れ合うことが制限されるなか,ディスプレイ上で動画を用いた際の,乳幼児のふり遊びを促す具体的な働きかけを明らかに出来たことは意義深いと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大により,大学の実験室において,乳幼児を対象とした心理実験を実施することが出来なかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に論文化を行った実験では,「笑顔」,「発話」の2種類の働きかけ(以降,ふりシグナル)について,単独提示条件(「笑顔」条件・「発話」条件)と,複数提示条件(「笑顔+発話」条件)を設け,その比較検討を行った。今後は,ふりシグナルの種類を増やした検討を行う。具体的には,新たに「ふり行動(身振り)」を加え,ふりシグナルの種類ならびにその組み合わせを独立変数とした検討を行う。様々なふりシグナル(笑顔,発話,ふり行動)について,単独提示条件と,複数提示条件を設け,その効果を検討する。なお,従属変数としては,乳幼児が大人のふりの意図を理解することが出来るかを用いる。 加えて,新型コロナウイルスの感染拡大により,乳幼児と直接触れ合う機会が制限されていることから,上記の検討を,実験室のみならずオンライン上でも行う。これにより,状況(対面/リモート)に応じた乳幼児のふり遊びを促す働きかけを明らかにすることが可能となると考える。
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Causes of Carryover |
2020年度に予定していた実験が実施出来なかったため,実験に関わる経費を,2021年度に繰り越した。また,2020年度に参加を予定していた学会が,中止またはオンラインでの開催となったため,2020年度に執行を予定していた旅費についても,2021年度に繰り越した。
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Research Products
(1 results)