2023 Fiscal Year Research-status Report
The experimental study on the interaction between personality traits and personality typologies by physiological and behavioral indexes.
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20K03380
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Research Institution | Tohoku Bunkyo College |
Principal Investigator |
松田 浩平 東北文教大学, 人間科学部, 教授 (30199799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 恵美 東京富士大学, 経営学部, 教授(移行) (20569975)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | パーソナリティ / 前頭脳血流 / 個人内変動 / クラスタ分析 / 類型化 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度に生理指標・反応時間の測定する対面実験を実施し67名の参加者からデータを得た。HEGからは、パーソナリティ評定時に生じる自己のイメージ・判断に要する前頭脳血流の状態を1.質問紙(BIG5),2.閉目安静(3分間),3.単純反応試行, 4.特性語評定試行, 5.文章評定試行,6.質問紙(BIS/BAS)の6条件においてパーソナリティ評定時の前頭脳血流による個人内要因を検証した。 分散分析の結果,6条件でHEGの個人内変動に有意差が認められ,なかでも閉目安静時,質問紙検査とPCによるパーソナリティ評定条件によって前頭脳血流に特徴的な変動を認めた。下位検査の結果,BIS/BASではBIG5,閉目安静,単純反応試行,特性語評定試行,文章評定試行との間で前頭脳血流に有意差が認められた。質問紙(BIG5)では単純反応試行,特性語評定試行,文章評定試行との間で前頭脳血流に有意差が認められた。閉目安静では特性語評定試行,文章評定試行との間で前頭脳血流に有意差が認められた。この結果から,各評定で前頭脳血流の活動性に変化があること,そして紙とペンで行う質問紙評定法とPC評定法では前頭脳血流に差があることが示唆された。特に,PC評定法では質問の提示方法によっても前頭脳血流に変化があることが示唆された。 さらに,HEGの6条件による個人内変動をもとに参加者の類型化を試みるため,Ward法による階層的クラスタ分析を行った。樹状図を参考に4クラスタ構造であると判断した。個人内要因として各クラスタによるHEG変動の有意差が認められた。PC評定時では,単純反応条件,特性語評定条件および文章評定条件の全てクラスタによる有意差が認められた。質問紙評定時では,BIG5条件でクラスタによる有意差が認められBIS/BAS条件でもクラスタによる有意差が認められ,HEGの変動による参加者の類型化ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和5年度は,詳細なデータ解析ならびに報告書の執筆作業にあたった。データセキュリティの関係から東京富士大学と東北文教大学のPCに保管しているデータは,SSDに記録して研究代表者が持ち運びデータの統合を行った。これまでに,アーチファクトの処理や反応時間の尚早反応ならびに遅延反応の処理を含めたモデル式による数量化を行った。 各評定で前頭脳血流の活動性に変化があること,そして紙とペンで行う質問紙評定法とPC評定法では前頭脳血流に差があることが示唆された。よって条件ごとのHEGの個人内変動をもとに参加者の類型化ができた。反応時間から,質問紙検査や面接および規定要因(因子,反応キー,個人間差など)との関連性を解析する。生理指標は,評定条件と脳血流・α波の左右同期・心電図などを用い,特性語への反応が扁桃体優位か前頭前野優位など反応時間では測定できない要因を検討した。これをもとに,異なる評定条件による生理・行動指標の変化を明らかにし,1)参加者内相対的変動,2)参加者間相対的変動,3) 参加者内相対的変動×参加者間相対変動で階層および非階層的クラスタ分析を行なう予定であった。クラスタ分析の結果を詳細に検討したところ,クラスタに含まれる参加者の生理・行動指標に個人の生理特性による差が大きく,生理特性差による変動なのか,心理的状況による変動なのかを詳細に検討する必要に迫られた。そのため,個人内変動を傾向として抽出するためのデータの基準化の方法について模索が続いた。 引き続き,令和6年(2024年)度については更に1年間の研究期間の延長を認めていただいたので詳細なデータ解析と報告書の作成にあたる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は,詳細なデータ解析ならびに報告書の執筆作業にあたる。反応時間から,質問紙検査や面接および規定要因(因子,反応キー,個人間差など)との関連性を解析する。生理指標は,評定条件と脳血流・α波の左右同期・心電図などを用い,特性語への反応が扁桃体優位か前頭前野優位など反応時間では測定できない要因を検討する。これをもとに,異なる評定条件による生理・行動指標の変化を明らかにし,1)参加者内相対的変動,2)参加者間相対的変動,3) 参加者内相対的変動×参加者間相対変動で階層および非階層的クラスタ分析を行う。クラスタに含まれる参加者の生理・行動指標から特徴とクラスタ内での特性の変化を従来の研究結果と比較検討し報告書を冊子として作成する。 実験結果より,独立した特性間で生じる個人内変動による個人間差をクラスタ分析で類型化し,類似した特性内で生じる小さい個人間差を性格特性とし,従来からの特性論だけでなく新たに類型論を融合させた新たな相互作用に基づくパーソナリティ理論を検討する。HEGの個人内変動による個人差の検出は日本心理学会第88回大会で発表する。また反応時間の個人内変動による個人間差の検出は日本パーソナリティ心理学会第32回大会で発表する。さらに詳細な分析結果は,The 33rd International Congress of Psychology, Prague(第33回国際心理学会,プラハ)で発表しそこでの討論結果をもとにBehavioral Sciences等の国際誌に投稿したい。
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Causes of Carryover |
令和4年度に提出した研究計画において,研究の本拠地を東北文教大学しているため,分担研究者には打ち合わせのための出張を要した。予定より2年遅れて令和4年度より感染予防に充分な注意を払った上での対面実験を実施するに至った。令和5年度も同様に,令和4年度以前に執行できなかった旅費および人件費を執行し対面実験を重ねデータを収集できた。 令和6年度は,主にデータ解析と報告書ならびに論文執筆を行うためそれらの費用を支出する予定である。なお2024年の第33回国際心理学会(プラハ)に参加するが,不足分は所属機関の個人研究費等を利用する予定である。
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