2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Instructional Methods for Improving Context-Constructional Skills to Enhance Children's Problem Finding Ability for Profound Learning
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20K03381
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Research Institution | Beppu University Junior College |
Principal Investigator |
向井 隆久 別府大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (30622237)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 問い生成 / 小学生 / 社会科 / 道徳科 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は,以前より進めていた小学生を対象とした授業内での問い生成に関する2つの調査データの分析を行い,結果を論文にまとめた(研究1,2)。 研究1では小学4年生49名を対象とし,社会科の調べ学習(消防について)における,児童の問い生成の特徴や困難さを調査した。具体的には児童が生成した問いを「Y-N型の問い(答えがYesもしくはNoになる問い)」「事実・事例要求の問い(何?誰?いつ?等)」「説明要求の問い(なぜ・・・;等)」「仮説・予測的問い(・・・なのではないのか?等)」「精緻化・発展的な問い(先行の問い・答えを受けて,さらに発展させる問い)」の5カテゴリーに分類して出現頻度を分析した。その結果,2回の授業を通して,児童が生成した問いの多くは,「事実・事例要求の問い」であり,学びを深めるために重要な「説明要求の問い」や「仮説・予測的な問い」の生成数はかなり少ないことが明らかになった。 研究2では,小学4年生23名を対象とし,特別の教科 道徳(道徳科)において児童の生成する問いの特徴を調査した。その結果、児童が生成した問いは,圧倒的に「「説明要求の問い(なぜ・・・等)」が多く,内容的には教材の登場人物の行動や心情や道徳的価値を確認する問いの生成率が高かった。逆に,道徳的な問題を自分との関わりで考えたり,道徳的価値の根拠を問うなど批判的に考えてみる問いはほとんど生成されなかった。 これらの結果から,問い生成に対する状況・文脈の影響や,問い生成プロセスについて考察を行い,支援策と合わせて検討した。また上記に以外にも,小学生を対象に授業場面と日常場面での問い生成の比較に関する予備調査や,幼児を対象とした園生活内での問い(質問)内容に関する予備調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画全体の主要な研究目的は,児童の問題発見力を高める支援法の開発に向けて,主に小学生を対象に(1)展望的な文脈構成課題の効果の検証,(2)授業における問い生成過程と日常生活における問い生成過程の違いの検討,(3)問い生成力の発達の調査を進めることであった。 今年度はコロナの影響で,学校現場での子どもたちを対象とした調査の実施が容易ではなかったが,その分,以前より進めていた調査データの分析を進めることができた。それにより、小学4年生が社会科と道徳科の授業において生成する問いの特徴や、問い生成における困難さに関する知見を得ることができ、成果を2本の論文にまとめることができた。これらの知見は、上記の研究目的(2)と(3)の達成に、より直接的につながるものである。また分析の結果からは、児童が問いの生成が、授業の状況や文脈の影響を受けながら、問う意義を考慮して問い生成していることが推察された。これは上記の研究目的(1)を実施する根拠にもなり得る知見といえる。 また、その他にも、小学2年生、4年生、6年生を対象に、授業場面と日常場面のそれぞれで子どもたちが生成した問いを収集する予備調査を実施することができた。この調査は上記の研究目的(2)と(3)に直接関連してくるものであり、得られたデータを分析することで、授業場面と日常生活で子どもたちが生成する問いにどのような傾向があるのか、どのような発達的変化がありそうかなど、本調査へ向けた貴重な情報が得られそうである。 さらに、幼児を対象とした園生活内での問い(質問)内容に関する予備調査を実施した。これは研究目的(3)に関連するものであるが、幼稚園・保育所の協力のもと小型ボイスレコーダーでの問い収集が実際に可能であることや、労力などについて把握できたため,今後の本調査へ活かしていくことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に実施した研究で明らかになった知見に基づき,研究計画の主要目的(1)展望的な文脈構成課題の効果の検証,(2)授業における問い生成と日常生活における問い生成の違いの検討,(3)問い生成力の発達の調査をさらに進めていく。 目的(2)の授業場面と日常場面との比較は,予備調査からいくつかの手続き上の改善点が見えてきたため,改善策を考案し本調査実施を目指す。特に教科の違いによって問いの形式から違いが生じてくる可能性が明らかになったため,令和2年度に分析したように,教科ごとの問いのデータを収集する必要がありそうである。この問題は目的(3)の問い生成力の発達を検討する際にもあてはまることである。ここまで教科ごとに子どもたちの問いを分析した結果,目的(1)を実施する根拠や,実施方法のヒントにつながる情報が得られつつあるため,教科ごとの問いの調査がある程度完了した後,目的(1)の実施を進めていくこととする。 目的(3)に関連して,園生活内での幼児の問いの調査は,予備調査で得られたデータを一度分析する。どういった類の問いが出現しているのかについてカテゴリー分けを検討することと合わせて,年齢ごとに出現頻度の比較分析を行う。分析の結果から本調査に向けて改善点などが見つかれば,それを反映して本調査の実施を目指す。
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Causes of Carryover |
今年度はコロナの影響で、小学校や幼稚園・保育所での調査が制限された。特に幼稚園・保育所で幼児の園生活内での問い(質問)の音声データの収集については、予定していたよりも実施の負担があり、多人数を調査することはできなかった。そのため調査の大部分を次年度に引き継ぐかたちとなり、調査補助や音声データの書き起こし、データ入力・分析協力などの人件費・調査参加協力謝金を次年度に繰り越すこととなった。またそれに伴い、文字データを分析するテキストマイニングソフトの購入も次年度以降に見送ったことや、購入予定であったパソコン購入を先に延ばしにしたことで(大きなモデルチェンジが行われ、現状では、これまで使用していた分析ソフトをパソコン上で起動できなくなる可能性があったが、今後その問題が改善される予定)、これらの物品費も次年度に繰り越すこととなった。次年度以降、上記の調査を継続し、それに係る調査協力や音声データ書き起こし、データ分析協力などの人件費に充てたり、パソコン等の問題も解決次第、購入を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)