2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of treatment programs for sexual addictions through exploring related risk factors
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20K03385
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
原田 隆之 筑波大学, 人間系, 教授 (10507742)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 性的アディクション / 性犯罪 / リスクファクター / 遅延価値割引傾向 / サイコパシー |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、リスクファクターに関する調査を実施することが目的であった。方法としては、性的アディクションに関するリスクファクターとして関心が高まりつつある遅延価値割引傾向という認知傾向に関する質問紙を用いて、性的アディクション患者およびコントロールに実施することによって比較検討する。さらに、パーソナリティ上のリスクファクターとして、サイコパシー傾向にも着目し、サイコパシー尺度も同時に実施することとした。 サイコパシー尺度は、既存の尺度をもとに開発し、よりマイルドな形態のサイコパシー傾向も把握できるものとした。予備調査として400人を対象にしてウエブパネル調査を実施した。妥当性の検討としては、これまでのルール違反や犯罪歴を尋ねた。判別力のある項目を洗い出して検討した結果、3因子構造が確認され、高い妥当性および信頼性を確認することができた。 調査の実施は、福岡県にある性的アディクション患者の自助グループに依頼することとし、さらに関連施設への協力を打診した。これまで協力への内諾を得ているが、コロナ禍の影響で実際の調査は進んでいない。コロナ禍では自助グループで集まること自体が難しいうえに、研究者も現地に赴いて調査依頼等をすることが困難な状況である。調査対象を拡充するために、都内のアディクション専門のクリニックなどにも依頼を行い、内諾を得ることができた。 現時点では、質問紙や実施方法が確定し、倫理審査を受けている最中である。許可が得られ、コロナの感染状況が落ち着けば、すぐに調査実施に着手する予定である。 また、すでに開発していた性犯罪のリスクアセスメントツールである「日本語版Static-99」についての論文を完成させ、国際誌に投稿した。現在、査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中に調査研究を実施する予定であったが、コロナ禍の影響で現地での説明、調整等を行うことができなかった。調査協力の内諾は得ており、質問紙も完成しているが、実際の調査まで着手することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ZOOMなどを用いてオンラインでの研究説明などを考えている。それによって、先方の責任者から口頭で承諾を得て、文書は郵送してもらうようにする。 また、感染状況によっては、自助グループの会合自体が行われない場合があるので、自助グループ以外の研究参加者を開拓することも今以上に努力する。場合によっては、ウエブプラットフォームを活用しての調査を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で旅費の執行がほとんどできなかった。学会が軒並みオンライン開催になったほか、研究の説明や実施のための出張をすることができなかった。そのため、謝金の支出も不可能であった。 次年度は、感染状況を注視しながら、できる範囲で研究計画を実行に移すことで、効率的な予算の執行に努めることとしたい。さらに、ウエブパネル調査の可能性も検討し、旅費が執行できなかった場合は、その調査委託費に充てることも考えたい。
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