2022 Fiscal Year Research-status Report
Verification of the Effectiveness of Separated Parent Support and Parent Education Programs to Promote Smooth Visitation after Divorce
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20K03392
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
草野 智洋 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (10585045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田切 紀子 東京国際大学, 人間社会学部, 教授 (10316672)
青木 聡 大正大学, 心理社会学部, 教授 (40327987)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 面会交流 / 離婚 / 質的研究 / インタビュー調査 / 親権 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は4年間の研究計画の3年目にあたる。今年度は、昨年度に行った11名の同居親を対象としたインタビュー調査を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析し、日本離婚・再婚家族と子ども研究学会に論文として投稿した。離婚直後は面会交流に対して否定的な気持ちを持っていたが現在は肯定的な気持ちに変化している同居親を対象に調査を行い、同居親の面会交流に対する思いが変化するプロセスと面会交流に対する気持ちが肯定的に変化する要因を明らかにした。当初は義務感からであっても面会交流を行い続けることによって、子どもが別居親との交流を喜ぶ様子を目の当たりにし、同居親にとっても自分の時間ができるなどのメリットがあることを実感していた。また、面会交流に関するやり取りを通して元配偶者を見直し、元夫婦間の葛藤が低下するという変化のプロセスが示された。現在、査読を受け修正再投稿中である。 さらに、離婚して親権を失い子どもと一緒に暮らせなくなった女性1名(Aさん)にインタビュー調査を行い、その苦悩と葛藤のプロセスを複線径路等至性アプローチによって分析した。公的機関や社会システムはAさんと子どもが会うことのできる方向に働く力にはなっておらず、子どもが母に会いたいという思いと子どもの成長が,Aさんと子どもを結びつける力となっていた。また,別居親が社会からも同居親からも抑圧を受け、強い精神的苦痛を感じていることが明らかになった。アドボカシーの観点から、心理支援者は被支援者の内面的な変容のみを目指すのではなく、周縁化された人々を疎外している社会構造そのものにも働きかける必要があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年4月までに同居親と別居親の心理についての論文をそれぞれ1本ずつ執筆することができた。しかし、査読とその修正に時間を要しており、掲載には至っていない点でやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
4年目にあたる2023年度は、これまでの同居親と別居親を対象とした研究から得られた知見をもとに、離婚や別居を考えている親に対してどのような教育プログラムを行うのが効果的かを検証する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度から2022年度にかけて新型コロナウィルスの世界的流行に伴い県外・海外への渡航ができなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は国内学会や国際学会が対面で開催されるのであれば、そちらに使用する予定である。
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