2022 Fiscal Year Research-status Report
乳がんサバイバーの病の体験過程におけるposttraumatic growth
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20K03403
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
駿地 眞由美 追手門学院大学, 心理学部, 准教授 (10388217)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乳がんサバイバーの病の体験 / PTG / がんへの心理的適応 / 肯定的ボディイメージ / セルフコンパッション / 出来事の中心性 |
Outline of Annual Research Achievements |
①診断後5年以内のわが国の女性乳がんサバイバーのPTGについて理解することを目的としたWeb調査を行った。調査対象者は、女性乳がんサバイバー709名(平均年齢=47.2歳、SD=12.8;診断からの経過年数の平均=27.8月、SD=16.9)であった。結果、調査対象者の92.1%が中程度以上のPTGを体験していることや、PTGはがんへの心理的適応および肯定的ボディイメージと関連していることなどが明らかとなった。その他、本研究結果からは、乳がんサバイバーが乳がん罹患という心身の困難な状況を生き、その体験を問おうとする中で、自身のいのちや身体という根源的で実存的な生との出会い直しやつながり直し、また、身体性を伴う自己の再構築が行われているようにも推察された。 ②苦しみに直面したときに自分を思いやることができる態度であるセルフコンパッション(Neff,2003)と、ある出来事(本研究では乳がん罹患という体験)が自分の人生や個人のアイデンティティにとって重要なものとして認識されている度合いを表す出来事の中心性(Berntsen & Rubin,2006)に着目し、乳がんサバイバーのPTGとセルフコンパッションの関連および、この関連における出来事の中心性の媒介的役割を検討することを目的とした研究を行った。調査対象者は、診断後5年以内の女性乳がんサバイバー709名(平均年齢(歳)=47.2、SD=12.8;診断からの経過年数の平均(月)=27.8、SD=16.9)であり、調査はWeb上で行われた。結果、セルフコンパッションは、乳がん罹患という困難な体験を人生やアイデンティティの中に統合するプロセスに関連し、それに媒介されながら、PTGという肯定的な認知の再構成や心理的変容を直接的・間接的に支える可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
乳がんサバイバーのPTGの生起プロセスを捉えるため、本研究課題では2回のパネル調査の実施を計画した。2回目の調査自体は令和4年度に終えることができたが、その他の業務の多忙により、調査結果の分析までは完遂しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題におけるこれまでの調査により、乳がんサバイバーのPTGに関わる要因についてある程度明らかにできた。また、パネル調査により、PTGの生起プロセスを理解するためのデータも得られている。次年度は、追加の調査も行いながら、これまでの調査結果の総合的な分析・考察を行う。
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Causes of Carryover |
当初想定していたよりも調査費用がおさえられたこと、コロナ禍で学会がオンライン開催になり、見積もっていた旅費を使う必要がなかったことなどにより、次年度使用額が生じた。 次年度は追加のWeb調査の実施を計画しており、その費用に充てる予定である。
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