2021 Fiscal Year Research-status Report
Development both the outcome measure for interventions of help-seeking and the intervention program forcused on optimal and functional help-seeking.
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20K03408
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
本田 真大 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40579140)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 援助要請に焦点を当てたカウンセリング / 被援助志向性 / 尺度開発 / 認知行動療法 / 発達臨床心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の研究2はCOSMINに基づいて尺度作成することであった。まず,前年度の研究1の成果を踏まえつつ,作成する尺度(PROM)を主要な概念の中から援助要請認知(期待感・抵抗感)と援助要請行動の質(援助要請スキル)とした。 研究2-1では尺度項目開発を目的に対象集団である小学4年生から高校3年生1029名を対象に自由記述調査を行った。分析の結果,期待感の構成概念が9個,抵抗感の構成概念が9個,援助要請スキルの構成概念が12個得られ,理論的に飽和したと判断された。本研究成果を踏まえて援助要請認知尺度候補項目18項目,援助要請スキル尺度候補項目12項目が作成された。 研究2-2では専門家パネルに基づいて包括性と関連性を検証することを目的に,関連領域の研究者及び実践家9名を対象に半構造化面接を行った。その結果,教示文(想起期間を含む)と複数の項目が修正され,最終的に両方の尺度の教示文,想起期間,反応選択肢,項目に対して90%以上の採択率が得られ,包括性と関連性が確認された。 研究2-3では当事者パネルに基づいて研究2-2で修正された尺度の包括性,関連性,わかりやすさを検証した。小学4年生から高校3年生484名を対象に質問紙調査を実施した結果,すべての評価項目について90%以上の肯定率が得られた。 さらに,開発するPROMのうち援助要請スキル尺度についてCOSMINに基づいたシステマティックレビューを開始し,現在進行中である(研究2-4)。 以上より,当該年度に合計4つの研究を行い,尺度の質を高めることができた。本来の計画ではこの後の信頼性,妥当性,反応性の検証研究も行う予定であったが,PROM開発研究及び内容的妥当性研究に十分な時間を要したため実施しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では今年度中に尺度開発を終える予定であったが,PROM開発研究と内容的妥当性研究に予定以上に時間を要したため,対象集団の変更(大学生,成人に実施せず,小学4~6年生を対象集団に加えた)を行った。また,計画していた次の研究(信頼性,妥当性,反応性の検証)を実施できなかった。しかし,尺度開発において内容的妥当性は非常に重要であり,時間をかけて分析・検証したことは尺度の質を高めるために必要であり,最終的な本研究課題の価値を高めるものであると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは今年度の研究成果を踏まえて,開発された援助要請認知尺度,援助要請スキル尺度の尺度特性(信頼性,妥当性,反応性)を検証するための質問紙調査を小学4年生から高校3年生を対象に実施する(研究3-1,研究3-2,研究3-3)。その結果を基に開発した2つの尺度の質を評価するとともに,必要に応じて追加の研究を実施する。現時点では高校生を対象とする反応性の検証はオンライン調査で実施する予定である。 次に,当初の3年目の研究計画ではオンライン調査(開発した尺度を用いて本田他(2015)の援助要請行動から適応感に至るプロセスモデルを検証する)を実施して介入モデルを作成し,4年目に介入研究を行う予定であったが,新型コロナウイルス感染症の影響による学級閉鎖とそれに伴う授業時数の確保や,学校の新しい生活様式下での実践研究の限界を考慮すると,介入研究までを行うのは非常に困難であり,実施できたとしても対象者ならびに各学校に過度な負担をかける恐れがある。 そのため,介入研究の実現可能性を考慮しながら4年目の研究計画を変更し,将来的な介入研究に資する研究(開発した尺度を用いて援助要請の過少性,過剰性,非機能性との関連を検討する研究)を加えることも検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額の大部分は,各種学会がオンライン開催となり,1年度目,2年度目ともに旅費をほとんど使用しなかったため,そして,当初実施予定であった2年度目のオンライン調査を実施せず,地域の学校に調査を依頼し実施したためである。 次年度(3年度目)も多くの学会がオンライン開催またはハイブリッド開催となる見込みであり,旅費をそれほど使用しないと予想されるが,当初計上していた2回分のオンライン調査を実施する予定であり,それらに割り当てることを計画している。
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