2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development both the outcome measure for interventions of help-seeking and the intervention program forcused on optimal and functional help-seeking.
Project/Area Number |
20K03408
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
本田 真大 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40579140)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 援助要請 / 援助要請に焦点を当てたカウンセリング / 認知行動療法 / 発達臨床心理学 / 学校心理学 / COSMIN |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究でCOSMINに基づいて作成した尺度を開発したが,反応性を十分に検証できなかった。そこで最終年度の研究では反応性を再検証するとともに,尺度の予測的妥当性も検討した。約1か月の期間を開けた2回の質問紙調査を実施した結果,小,中,高校生の全体的には期待感が高いと1か月後の援助要請行動得点は高いが,悩みが多い児童生徒にはその効果が見られず,反対に抵抗感が強いことで1か月後の援助要請行動が抑制されることが示唆された。援助要請スキルは1か月後の援助要請行動と直接的な関連は見られなかったが,援助要請スキルが高いと1か月後の期待感が高く抵抗感が低いことが明らかになった。先行研究も踏まえるとこの結果は,援助要請スキルが高い方が相談したときに良い結果が得られやすく(「相談してよかった」「上手に相談できた」と実感しやすく),その体験から期待感が高まり抵抗感が減ること,ひいては将来悩んだときに援助要請行動が促進されることを意味すると考察できよう。反応性については,中学校1校(介入群)で2回の調査の間に援助要請を促進することを意図した心理教育の授業(50分1回)を実施した。しかし,介入群においても反応性の検証のためのアンカー項目と援助要請認知(期待感,抵抗感),援助要請スキルの得点変化量の単相関係数が低く,アンカー項目を使用して反応性を検証することができなかった。 研究期間全体にわたり新型コロナウイルス感染症による研究・実践上の制限が生じた中で,研究成果は援助要請に焦点を当てたカウンセリングの国内外の研究をレビューし研究課題を明示できたこと,COSMINに沿った援助要請の認知と行動の測定尺度を開発できたことである。課題としては尺度の反応性を検証すること,尺度開発後に予定していた援助要請の最適性を高める介入法を開発することである。
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