2022 Fiscal Year Research-status Report
学生相談と教員の協働による発達障害院生の主体性発達支援モデル構築に関する研究
Project/Area Number |
20K03412
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 健一 名古屋大学, 心の発達支援研究実践センター, 教授 (10284142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉岡 正典 名古屋大学, 心の発達支援研究実践センター, 准教授 (70523314)
山内 星子 中部大学, 人文学部, 准教授 (00608961)
松本 寿弥 名古屋大学, 学生支援本部, 講師 (40735958)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 発達障害 / 主体性 / 自律性 / 対人関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「発達障害とその傾向を持つ大学院生(以下、発達障害院生)」の大学院適応と主体性を促進するため、学生相談(援助場面)と大学生活(現実・教育場面)を連動させ、大学ぐるみの包括的発達支援モデルを構築する。そのため、発達障害院生の主体性の発現と大学生活の場に般化するプロセスを縦断的に検証する。研究全体としては以下の4点を実施している。 (1)「発達障害院生の主体性・自律行動が発現する対人的要因の検討」:学生相談の実践や文献研究より、①対人スキルだけではなく、対人関係における時間の要因の重要性、②発話による直接的な対話だけではなく、同一空間における競争や協力といった児童期テーマの重要性が明らかになった。 (2)「主体性・自律行動が大学生活場面へと般化する要因とそのプロセスの追跡調査」:教員と連携をしながら、研究室における大学院生の主体性がグループワークの実施によって発現していくプロセスを検討した。グループワークには教員も大学院生も共に参加して行われ、教員の認識している研究活動と大学院生が認識しているそれとのズレが明確になり、そのズレを検討することの重要性が明らかとなった。 (3)「国内外の大学視察、教員の発達障害院生指導の現状と困り感、教員の役割の検討」:コロナ禍において他大学の視察は十分に行うことはできなかったが、教員の困り感も発達障害によるものではなくコロナ禍における対応に集約されることが示唆された。 (4)「発達障害院生の適応と主体性を支援する援助指針(ガイドライン)を策定しその有用性の検証」:ガイドライン作成のための基礎的な情報収集ならびに支援実績の収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、2021年度にコロナ禍により実施ができなかった研究3「グループ支援」を実施し、適応感と主体性の発現する対人的状況と支援者との相互作用を検証した。そのため、2022年度に実施予定であった研究4「大学生活場面での追跡調査」を検討するに至らなかった。主体性の発現が大学生活場面(研究活動やゼミナール,対人関係)へと般化する(しない)要因とそのプロセスについては次年度に検討することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、2022年度に実施できなかった研究4「大学生活場面での追跡調査」を実施する。学生相談を利用する発達障害院生30名を対象に、週1回5ヵ月間を1クールとし、年間2クールを行う。活動はすべて視聴覚機器にて録画し、チェックリストを もとに主体性 がみられた場面を特定、前後の対人交流過程を分析する。 また研究4として、大学生活場面での追跡調査を行う。研究3で4群に分類した群毎に、主体性の発現が大学生活場面(研究活動やゼミナール、対人関係)へと般化 する(しない)要因とそのプロセスを明らかにする。研究3に参加した院生の指導教員を対象に3か月に1回(年4回),発達障害 院生の対人関係場面における主体性 発現を問う質問紙調査と面接調査を行う予定である。その結果よりガイドラインを策定し、そのガイドラインの有効性を研究5「事例研究」により検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
学会オンライン参加によって,旅費が想定より削減されたため
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