2023 Fiscal Year Annual Research Report
日本・韓国・台湾における学生相談が心理専門職の専門性養成に与えた影響の比較検討
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20K03422
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
伊藤 直樹 明治大学, 文学部, 専任教授 (50327087)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 学生相談 / 学生支援 / 専門性養成 / 国際比較 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,歴史的・文化的に関連が深いにもかかわらず,学生相談領域において,これまで重視されてこなかった韓国および台湾に焦点を当て,学生相談の発展が心理専門職の専門性養成に与えた影響について文献研究及びインタビュー調査をもとに明らかにすることを目的として行われた。 韓国における学生相談・学生支援の近年の研究課題に関する文献研究の結果,「学生相談・学生支援のための介入方法に関する研究」,「カウンセリングや心理的支援への態度,及びスティグマに関する研究」,「海外との比較・欧米との文化差に関する研究」,「インターネットの利用に関する研究」,「特定の特性に焦点を当てた適応に関する研究」の5つの研究課題が見出された。このことから韓国では自国の文化的・社会的背景に着目した研究,自国の文化の影響の海外との比較,西欧の研究で得られた知見を自国の文化に適するよう修正を行う研究が多く行われていることが見出された。 台湾における学生相談・学生支援の近年の研究課題についての文献研究の結果,「大学生の学生生活の状況に関する研究」,「大学生の精神的健康に関連する諸要因に関する研究」,「学生相談機関の利用促進及び相談・支援の質的向上に関する研究」,「大学生の家族関係に関する研究」,「大学生を取り巻く社会的問題に関する研究」の5つの研究課題が見出された。このことから台湾においても自国の文化的・社会的背景に着目した研究が多く行われていることが見出された。 さらに,最終年度においては,韓国のソウル大学校,延世大学校及び台湾の国立台北大学の学生相談機関においてインタビュー調査を実施し,上記の文献研究により得られた知見を補完するとともに,両国の大学における学生相談の実情についてデータを得た。その結果,両国における学生相談・学生支援の研究課題が学生相談における心理専門職の専門性養成に深く関わっていることが示唆された。
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