2022 Fiscal Year Research-status Report
強みや強みを伸ばそうとする心理教育がネガティブな効果をもたらすとき
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20K03428
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
津田 恭充 関西福祉科学大学, 心理科学部, 准教授 (80635665)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 強み / 主観的幸福感 |
Outline of Annual Research Achievements |
強みのひとつである謙虚さが主観的幸福感と関連するのか否かについての知見は一貫していない。本研究では、これは謙虚測定に伴う反応バイアスや、謙虚さの文化差によるものであると仮定した。この仮説を検討するため、はじめに、反応バイアスの影響を受けない謙虚さの測定法であるhumility-arrogance IATの日本版を開発し、その妥当性を確かめた。次に、humility-arrogance IATや自己評定式の質問紙によって謙虚さを測定し、主観的幸福感との関連を調べた。その結果、自己評定式の質問紙によって測定した謙虚さは主観的幸福感と有意な相関を示さなかったが、humility-arrogance IATによって測定した謙虚さは主観的幸福感と弱いながらも有意な正の相関を示した。これは、日本人にとっては謙虚さが単なる社会的な美徳ではなく、個人の主観的幸福感と結びついているものであることを意味する。 また、臨床実践に結びつく研究として、自閉スペクトラム症児(ASD児)の保育や教育にあたっている保育教諭が、ASD児や定型発達児に対してどのような態度を有しているかを検討した。その結果、保育教諭は大学生よりも、ASD児に対して選択的にポジティブな態度を有していることがわかった。この結果は接触仮説を支持するものである。質的な検討を行ったところ、子どもの成長性への期待が自閉スペクトラム症児に対するポジティブな態度と結びついていることがわかった。先行研究でも、特別な配慮を要する子どもの強みやレジリエンスを発見し、それを子どもや保護者に伝えることが重要であると指摘されているが、本研究でも同様の結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス流行に伴う長期的な行動規制の影響で、予定していた調査や実験が十分に実施できなかった。そのため、計画よりも研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は複数回の介入を含む長期的な研究を計画していたが、長引く行動規制の影響で期間内に研究を終えることが難しくなったため、介入を伴わない一時点の調査に変更する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行によって研究(特に複数回の介入を含む長期的な研究)が遅れているため次年度使用額が生じた。一部の研究の計画を変更し、それらに充てる。
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Research Products
(1 results)