2022 Fiscal Year Research-status Report
抑うつ状態の青年期自閉スペクトラム症の特徴と心理療法による効果の脳科学的解明
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20K03434
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大渓 俊幸 千葉大学, 総合安全衛生管理機構, 教授 (60456118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 郁葉 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 教授 (40625472)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 光トポグラフィー(NIRS) / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
抑うつ状態の青年期の自閉スペクトラム症者はうつ病との鑑別が難しく、治療的介入が奏効しないことがしばしばある。そこで、抑うつ状態の自閉スペクトラム症者に見られる特徴を明らかにし、自閉スペクトラム症に有効とされる心理療法を行った時に見られる変化と効果予測指標、効果判定指標を開発することを目的として本研究を行った。 本研究の前半部分として、令和3年度までにうつ病を併発する自閉スペクトラム症群と併発しない自閉スペクトラム症群、定型発達群の3群で光トポグラフィー(NIRS)装置を用いて測定した語流暢性課題と表情認知課題中に見られる脳活動の違いを横断的に比較し、課題中の脳活動が自閉スペクトラム症で、うつ病併発の有無、社会適応の程度、うつ症状の重症度を評価する生物学的な指標となり、診断補助となる可能性があることを明らかにした。 今年度は本研究の後半部分として、うつ病を併発している自閉スペクトラム症者と併発していない自閉スペクトラム症者に対して治療的な介入を行った時に見られる変化について、経時的に解析する研究を開始した。治療的な介入では、先行研究で自閉スペクトラム症者の治療目的で開発された認知行動療法を行った。臨床指標としては抑うつ症状、不安症状、認知の柔軟性、社会適応度、生活の中で支障を来している程度に注目し、認知行動療法の前後でどのように変化するのか経時的に解析するためのデータの蓄積を行った。 次年度の夏頃までには対象者数を増やし、十分な対象者数となったところで解析を行って成果を公表することを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の前半部分については、うつ病を併発している自閉スペクトラム症者、併発していない自閉スペクトラム症者、定型発達者のそれぞれで見られる脳活動を横断的に比較する研究の成果を国際誌で公表することができたという点で、計画通りに研究を進捗させることができた。 後半部分については、次年度の夏頃まではうつ病を併発している自閉スペクトラム症者と併発していない自閉スペクトラム症者に対して行う認知行動療法によりもたらされる変化を解析するためのデータを蓄積し、十分な対象者数となったところで解析を行って、年度末までに成果を公表することを計画している。現在までの進捗状況としては、後半部分の研究を開始することができ、必要なデータの蓄積ができているため、研究計画に対して概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の夏頃までは、うつ病を併発している自閉スペクトラム症者と併発していない自閉スペクトラム症者に対して認知行動療法を行い、それによりもたらされる変化を解析するためのデータを蓄積する。予定していた対象者数のデータが集まったところで解析を行い、成果を学会発表と論文という形で公表する。
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Causes of Carryover |
本研究課題の後半部分にあたる、うつ病を併発している自閉スペクトラム症者と併発していない自閉スペクトラム症者に対して認知行動療法を行うことによりもたらされる変化の経時的な解析は、十分な対象者数になるまでデータを蓄積してから解析することにした。このため、当初予定していた認知行動療法と状態評価のために必要となる経費の支出の一部とデータ解析のために必要となる物品の購入は次年度に行うことになった。
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