2023 Fiscal Year Research-status Report
抑うつ状態の青年期自閉スペクトラム症の特徴と心理療法による効果の脳科学的解明
Project/Area Number |
20K03434
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大渓 俊幸 千葉大学, 総合安全衛生管理機構, 教授 (60456118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 郁葉 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 教授 (40625472)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 抑うつ状態 / 自閉スペクトラム症 / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
抑うつ状態の青年期自閉スペクトラム症(ASD)者はうつ病との鑑別が難しく、治療的介入が奏効しないことがしばしばある。そこでうつを伴うASD者に見られる特徴を明らかにし、これまでの研究でASDに有効であった認知行動療法(CBT)を行った時にうつの有無が治療効果にどのような影響を与えるのか明らかにする目的で本研究を行っている。 2022年度からはうつを伴うASD者と伴わないASD者に対してCBTを行い、CBTで得られる効果を検証するためにうつ症状はベック抑うつ質問票(BDI-II)、不安症状は状態‐特性不安尺度(STAI)、社会適応のレベルは自記式社会適応度評価尺度(SASS)を用いて、CBTの前とCBTの全プログラム終了後に状態評価をしている。 2023年度は前年度から蓄積しているデータを集計、解析し、全国大学保健管理研究集会で中間的な発表を行った。内容としては、うつを伴うASD者10名とうつを伴わないASD者10名に対してCBTを行ったところ、CBTの前後でうつを伴うASD群、うつを伴わないASD群はともにBDIーIIとSASSのスコアが改善したが、STAIについては有意な変化が見られなかった。このことから、ASD者に対して行うCBTにはうつの有無にかかわらず、うつ症状と社会適応の改善効果があることが明らかになった。一方、不安症状がうつを伴うASD群、伴わないASD群の両方で改善しなかったことについては、本研究の対象者はすべて大学生であったがCBTを行う時期を統制できなかったため、試験や課題による不安やストレスが結果に影響した可能性が考えられた。 2024年度はさらに被験者を増やし、十分な対象者数となったところで再解析を行って本研究の最終報告を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究分担者、研究協力者の体調不良があったため、予定通りにCBTのプログラムを進めることが出来ず、対象者数を十分に増やすことが出来なかった。このため、2023年度は最終報告をするために必要な対象者数で研究を行うことが出来ず、中間的な結果を学会で発表することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きASDの対象者に対してCBTを行う。 対象者数が十分な数になった時点で評価項目(うつ症状はBDI-II、不安症状はSTAI、社会適応のレベルはSASS)の経時的な変化について統計解析を行い、うつを伴うASD者と伴わないASD者でCBTの効果にどのような違いがあるのか明らかにする。
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Causes of Carryover |
想定していたよりも研究に遅延が生じたため、次年度使用額が生じることになった。 次年度は消耗品の購入と論文作成に必要な諸費用に使用することを計画している。
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[Presentation] 抑うつ状態を伴う自閉スペクトラム症の学生を対象とした認知行動療法の効果2023
Author(s)
大渓 俊幸, 大島 郁葉, 本郷 美奈子, 橘 真澄, 齋藤 朋子, 林 愛子, 生稲 直美, 岩倉 かおり, 吉田 智子, 水谷 知聖, 田中 敦子, 清水 栄司, 潤間 励子
Organizer
第61回全国大学保健管理研究集会