2022 Fiscal Year Research-status Report
EMDRのメカニズムの解明 -バイオマーカーを用いた研究-
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20K03443
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
米田 孝一 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (90706798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅川 明弘 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (10452947)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心的外傷後ストレス障害(PTSD) / 眼球運動による脱感作と再処理法 (EMDR) / 近赤外分光法 (NIRS) / 光トポグラフィー / 背外側前頭前野 (DLPFC) |
Outline of Annual Research Achievements |
不快な記憶、トラウマに対する心理療法の一つに眼球運動による脱感作と再処理法(Eye Movement Desensitization and Reprocessing; EMDR)がある。EMDRのメ カニズムについての仮説は挙げられているが、解明されていない。EMDRが不快な記憶やトラウマに対してどのように作用するのかを明らかにするために、本研究では近赤外線分光法(Near-infrared spectroscopy; NIRS)による脳活動の変化を捉える。対象者はDSM-5の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断基準を満たした患者5例であり、そのうちの1例はトラウマに関連した身体症状(心因性失声症)を合併していた。これらの対象者に対してEMDR実施中のNIRS測定を行った。NIRSで計測した時系列の光トポグラフィーから、EMDRによるセッションが進むにつれ、両側背外側前頭前野(dorsolateral prefrontal cortex; DLPFC)の活動が強くなり、不快な記憶や思いが軽減されるとそれらの活動が減弱していく様子が捉えられた。これらの結果から、EMDR治療のメカニズムの一部としてDLPFCが関わっていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PTSDと診断される症例数は多くはなく、限られた患者となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたNIRSデータにおける血流変化量の解析を行う。
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Causes of Carryover |
解析に必要な機器・ソフトウェアの購入をしていないため、次年度に持ち越しての購入を行い、解析の仕上げをする予定である。
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