2021 Fiscal Year Research-status Report
Which factor in play dose produce a "stress mitigating effect" and which factor dose a "game dependency?"
Project/Area Number |
20K03448
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Research Institution | Sapporo International University |
Principal Investigator |
橋本 久美 札幌国際大学, 人文学部, 教授 (30438410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜上 尚也 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (70221504)
中野 茂 札幌国際大学, 人文学部, 教授 (90183516)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゲーム依存 / デジタルゲーム / アナログゲーム / 対人ゲーム / 個人ゲーム / 脳波 / アルファ波 / ベータ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、遊びが「ストレス緩和効果」と「ゲーム依存」の両方向に向かう可能性を前提に、どういう介入法がゲーム依存を予防できるのかをテーマに研究を進めている。今年度は、まずゲーム依存に関わる心理的要因を質問紙調査により探索した。その結果、ゲーム制御困難因子・ゲーム思考習慣因子・社会活動障害因子・引きこもり因子の4つの心理的因子が抽出された。ゲーム時間が増加すると、ゲーム課金額が増加すること、ゲーム時間には、ゲーム制御困難因子と男性がリスク増因であることが明らかになった。一方、実験で対人デジタルゲーム遊びと対人アナログゲームでの脳波の動きを測定し、その比較より、感情の興奮がそれぞれの実験でどのように出現するかの経時分析を行った。デジタルゲームでのゲーム依存症は可能性があるが、他者との対面での対人ゲームでは、生活習慣が乱れるほどの依存症になることはほとんどないため、この2種類の遊びの質の違い比較することで、依存症のリスク要因が解明できると推測されたからである。その結果、デジタルゲーム遊びでは、優勢時に高アルファ波が頻出し、劣勢時にはベータ波が出現した。一方対人ゲームである人狼ゲームにおいては、人狼役の戦略により虚偽発言時で作業課題同様に脳波の動きが平坦であった。デジタルゲームでは即時報酬が得られると推測され、脳波に興奮が即反映されるが、他者を相手にゲームをしている場合は、ゲームに勝つという目的のため、課題を学習するのと同様な脳の使い方をしていると推測される。内的注意を要するワーキングメモリーと関連のある前頭葉中心部で発生するFmシータ波のみが活発となり、他の脳波の活動が低下した。明確な目的を持ち計画性のある虚偽発言時には、波形からは心理的葛藤は検出されず、課題遂行が順調である時に頻出するシータ波が顕著に出現することから、情動活動より高次機能活動が優位になると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により、実験計画が順調に進まなかった。実験が可能になっても参加人数を限定したり時間の短縮せざるをえなかったことで、計画を縮小した。そのため、今年度予定した進度にはまだ到達していない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、規模の大きい質問紙調査をして、ゲーム依存の心理状態の被験者全体の傾向を分析する。その後、回答者の中から実験に進む被験者(大学生及び中高生)を募り、ゲーム依存傾向の高い群と低い群における実験計画をすすめる。大学生の被検者に対しては、対人アナログゲームと対人デジタルゲーム中の脳波の経時分析を進める。中高生の被験者には個人のデジタルゲーム中の脳波を測定する。両実験では、脳波測定と同時に唾液検体を得て、脳波各波と唾液中コルチゾール濃度と唾液中セロトニン濃度との対応を検討する。仮説としては、ストレス波といわれるβ波とコルチゾール、α波とセロトニンがそれぞれ関連すると仮定した上で、ゲームのもたらす心理的興奮やストレス解消が特定の脳波と唾液中生化学物質が対応していることを確認し、中枢系と末梢系が呼応した生理的反応を明らかにする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、対面での実験が困難になり、謝礼金が発生しなかった。本来行うべき実験を次年度に行うことになった。さらに実験に必要な物品や消耗品も次年度に繰り越すことになった。また、渡航が困難になったことにより、当該年度の国際学会での発表が中止になったが、次年度はできるだけ国内での学会発表に代えて研究成果の発信をしていく予定である。
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Research Products
(5 results)