2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K03449
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
齋藤 梓 目白大学, 心理学部, 専任講師 (60612108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 かおり 清泉女学院大学, 人間学部, 准教授 (20736425)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 被害者支援 / 性暴力被害 / Tonic immobility / 男性の性暴力被害 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、新型コロナウィルス感染症流行下において研究計画の変更を余儀なくされたため、倫理審査に提出するための研究計画書の作成および以前収集したデータの分析を実施した。また、被害当事者団体と協働で調査を実施した。研究計画書は、ウェブリサーチ、性被害者を対象としたTonic immobility調査、インタビュー調査について作成した。性暴力被害に関する調査は回答者の精神的負荷が大きいため、最大限の倫理的配慮が求められる。慎重に検討することは意義あることであったと考えている。また、"17K04441・基盤研究(C)・性被害者の援助要請行動に関する研究"の費用を使用して収集した男女約3000名のデータについて、被害時に身体が動かなくなるTonic immobility尺度(TI尺度)の有用性、および男性の性暴力被害の実態とレイプ神話との相違について検討を行った。TI尺度は被害者が被害時に抵抗ができない要因の一つであり、TI尺度の日本における有用性およびTIの発生率を確認することは、本研究の目的である「被害者が抵抗や逃走が困難になる心理メカニズムおよび被害者の抵抗や逃走を妨げる状況要因」を明らかにするために重要であった。また、男性のデータについて分析を行い、男性も性暴力被害時にはTIが発生していることを明らかにした。 被害当事者団体との共同調査では、先行研究や被害当事者との話し合いの中で、被害時の被害者の状態や加害者の言動をリスト化し、性暴力被害の際にそれらの状態や言動がどの程度見られたか、また被害を認識するにはどのくらいの時間がかかったかを調べた。結果は広くメディアにも取り上げられ、被害時に明確な暴力や脅迫があることは少ないこと、しかし被害者は抵抗できないこと、被害認識に時間がかかることが明らかになった貴重な調査で遭った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来の予定では、2020年度はウェブリサーチを利用した調査、性被害体験に関するインタビュー調査については、倫理審査申請後、調査を開始することとしていた。しかし新型コロナウィルス感染症流行下で社会情勢が不安定であったこと、家庭内の性暴力被害が増えたためにウェブリサーチを利用した調査で実際に被害に遭っている者が回答する危険性への懸念があったこと、対面インタビューの実施が困難になったことから、計画はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症流行は続いているが、社会の混乱は収まってきたと考えられ、研究者が現在の社会状況を把握した上での研究実施が可能な状況になったため、2021年度中に倫理審査申請、調査開始を実施し、2022年度前半にインタビュー調査を含めて調査終了、2022年度後半にデータのまとめを実施していく予定である。 インタビューは対面インタビューから、感染状況を考慮して、対象者の希望によりZoomを使用したオンラインインタビューも利用でいるよう研究計画を変更する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の流行により社会状況が不安定になったため、研究計画について、特に倫理的配慮の再検討が必要となり、ウェブリサーチやインタビュー調査の進行が遅れたために次年度使用額が生じた。また、学会参加がオンラインとなったため、国内出張、国外出張等の旅費の使用がなくなった。2021年度は2020年度に実施予定であった調査を進めていくため、当初の計画通り執行する予定である。ただし、学会がオンラインとなったために旅費の使用は減ると考えられ、その分をウェブリサーチの委託費あるいはインタビュー協力者のリクルートのためのウェブサイト作成費とする予定である。
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Research Products
(2 results)