2020 Fiscal Year Research-status Report
クライエントの行動変容に有効な共感的態度の態様の解明
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20K03465
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
川道 拓東 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 客員研究員 (30596391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱野 友希 生理学研究所, システム脳科学研究領域, NIPSリサーチフェロー (00823254)
菅原 翔 公益財団法人東京都医学総合研究所, 認知症・高次脳機能研究分野, 主任研究員 (80723428)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | fMRI / 社会的交流 / カウンセリング / 同調性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、dual fMRIでの実験遂行を前提とした、自己の意見を表出することを通じて社会的交流を行うことが可能な実験環境を構築した。社会的情勢の変化(COVID-19の流行)を鑑み、二者が参加する小規模な予備実験を実施して、実験操作の妥当性の検証を行い、実験推進における問題点の解消を図った。特に、実験参加者への説明方法をブラッシュアップすることで、実験参加者が、我々の期待する評定を実施することを確認した。 社会的交流を通じた意見の変容、および、親密度の上昇とそれらの連関は、カウンセリングを有効に行うために重要な構成要素となる。これらの二点を確認可能な実験課題の開発が本実験計画の肝となる。我々は、予備実験を通じて、本課題を行うことで、二者の親密度が上昇すること、および、自己の意見が相手の意見に影響を受けることを確認した。これらは本実験における仮説である、「他者との社会的交流を通じた認識変化」がおこる実験課題を開発できたことを意味する。さらには、自己の意見と相手の意見の同調性(認知的共感)が高まる際に、実験参加者は互いに社会的報酬と感じている(感情的共感)ことも確認した。これらの結果からは、社会的報酬の認識(感情的共感)が、二者の親密度の上昇に寄与している可能性が示唆されるため、本研究計画で対象とするカウンセリング分野でのコミュニケーションに応用可能な課題の開発ができたと考えられる。 これらの結果をもとに、令和3年度は、実験協力者を募集した上で、dual fMRIでの実験を実施し、他者との社会的交流を通じた認識変化に寄与する、共感の神経基盤を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は、社会的情勢の変化により、実験参加者の募集が困難となる時期があったために、実験課題の開発、および、ブラッシュアップを先行することとした。開発した実験課題は、予備実験を通じて、妥当性を確認することができた。今回開発した実験課題は、当初より令和2ー3年度に遂行する予定であったため、社会情勢の変化はあったものの、概ね当初の予定通り進展することができた。今後は、実験協力者の募集を行い、実験遂行に注力する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、実験計画時に令和2-3年度に推進予定であった、実験課題の開発を行い、妥当性の検証を行った。令和3年度は、本実験に移行し、データ収集、解析を実施する。
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Causes of Carryover |
社会情勢の変化(COVID-19の流行)により、実験のブラッシュアップを先行したため、本実験開始に関わる費用を次年度に使用することとした。
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