2020 Fiscal Year Research-status Report
悩みや希死念慮がある大学生の特徴、経年変化と関連要因に関する横断・縦断・質的研究
Project/Area Number |
20K03469
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
山田 裕子 北里大学, 健康管理センター, 准教授 (80626812)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守屋 達美 北里大学, 健康管理センター, 教授 (50191052)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | こころの健康調査 / アウトリーチ活動 / ハイリスク / 学生相談 / COVID-19 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、2020~2023年度の年度毎に、学生相談カウンセラーが『こころの健康調査』(以下、調査)とその結果に基づく呼出面接を行い、得られたデータから、「悩み」「死の思考」「希死念慮」がある大学生の特徴、大学生の悩みや希死念慮の経年推移と関連要因、希死念慮を経験した大学生の時間的変化と関連要因を明らかにすることである。実践活動をベースとした研究であり、研究計画では、4月第1週目のガイダンス期間に第1回目の調査を全学部生に実施し、精神健康スクリーニングテストでカットオフポイントを超えた学生(以下、ハイリスク学生)を対象に、4月下旬~7月上旬にかけて学生相談室にて呼出面接を行う予定であった。 しかし、2020年度は、COVID-19の感染拡大により、新年度のオリエンテーション・ガイダンスを含む全てのカリキュラムが5月半ば以降に延期され、ほとんどの学部生が前期中はキャンパスへの入構を原則禁止されたため、計画していた方法では調査と呼出面接を行うことができなくなった。そのため、調査については、急遽オンライン形式に切り替えて、5月半ば~下旬にかけて実施した。その後、ハイリスク学生に対しては電話で順次連絡を入れてアウトリーチし、呼出面接の代わりに電話で学生の状況確認を行った。 コロナ禍において計画していた方法で調査と呼出面接を実施することはできなかったが、想定を超える状況の変化には対応でき、実践活動を継続した。2020年度に遠隔で行った調査とアウトリーチ活動については、別途論文にまとめており、今後発表を予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度の『こころの健康調査』はオンラインで実施し、その結果に基づく呼出面接に代えて、電話で学生の状況確認を行うことで、コロナ禍における状況の変化に対応し、研究活動を継続した。しかし、本研究で調査を予定していた「悩み」「死の思考」「希死念慮」については、もともとハイリスク学生との対面による面接で確認することを想定したものであり、そのような繊細な項目を電話で確認する場合、学生の様子や確認に対する反応を判断しきれないことと、危機介入ができないことが危惧された。そのため、倫理的な観点から、データ収集よりも臨床実践を優先し、電話でのアウトリーチでは、学生から自主的に語られる場合を除き、カウンセラーから上記3つの項目について積極的に尋ねることはしなかった。その結果として、2020年度の上記3項目に関するデータ数は想定していた数の約8分の1であった。コロナ禍の状況の変化に対応して調査を実施できたことは意義があるが、研究の観点からすれば、2020年度のデータ数は十分とは言えず、本研究の目的に向けて、一部方法の見直しが必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
悩みや希死念慮がある大学生の経年変化と関連要因を探究することを目指していたため、ベースラインとなる2020年度のデータを十分に得ることができなかったことは想定外であった。本研究では、当初は2020~2023年度に収集したデータを用いて経年変化を追う予定であったが、2017~2019年度に収集したデータを遡って分析に加えることで、目的の達成を目指すよう、研究計画を一部変更する予定である。そのためには、2017~2019年度に学生相談室を利用し、本研究の対象となる学生に対しては、データの研究利用について、オプトアウトで対応する。
|
Causes of Carryover |
COVID-19の感染拡大に伴い、当初の計画通りに『こころの健康調査』とアウトリーチ活動(呼出面接)を実施することができず、全てオンラインと電話での対応に切り替えざるを得なかったため、人件費等で予定していた予算を使用できなかった。また、学会出張はほとんどが中止となり、もしくは、オンライン開催に切り替えられたため、出張旅費もかからなかった。 COVID-19感染対策を行いながらの研究活動は当面続くと思われることから、2021年度についても計画していた人員の雇い入れや出張による学会等への参加の予定は立っていない。一方、この状況に応じて、『こころの健康調査』については来年度以降もオンラインで行う予定である。このような状況の変化に対応すべく、2020年度に使用できなかった人件費と今年度予定されている人件費については、オンライン調査のシステム開発に使用することを計画している。
|
Research Products
(3 results)