2020 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of visual illusion in transcultural environment: Investigation by fieldwork-based psychophysical pexperiment
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20K03479
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
錢 昆 九州大学, 持続可能な社会のための決断科学センター, 助教 (60736354)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 文化心理学 / 認知心理学 / 文化間比較 / 異文化 / フィールドワーク / フィールド実験 / 錯視 / 錯覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は本研究の初年度だが,新型コロナウイルス感染症流行の影響により,当初の研究計画をいち早く見直し,研究の手法と内容も必要に応じて修正・調整を行った。その結果,感染症流行の状況下においても研究が順調に実施でき,計画以上の進展が実現できた。 具体的には,当初計画していた実験室実験とフィールド実験の並行に関して,海外でのフィールド実験は渡航困難により延期とし,日本国内での実験室実験とフィールド調査に集中し,さらにオンライン実験という感染症流行の影響が比較的に低い研究手法を取り入れた。実験室実験は感染拡大前の令和2年4月~5月中に実施し,その成果をまとめ,12月に査読付き論文として公表した (Qian & Mitsudo, 2020)。日本国内のフィールド調査は,感染状況が比較的に収まった令和2年10月末~11月初のおよそ3週間にわたって実施し,東京以西の日本各地で一次データの収集を行った。オンライン実験を利用した研究は令和2年度中に取りまとめ,査読付き論文として公表した (Qian & Yamada, 2020)。 また,新型コロナウイルス感染症流行という危機的状況について,心理学の立場から我々の研究活動はどのように役に立つかを考え,令和2年度は感染症流行における人間の心理・行動研究に精力的に取り組み,3編の査読付き論文を公表した (Qian & Yahara, 2020; Yonemitsu et al., 2020; Qian, Javadi & Hiramatsu, 2020)。コロナ禍によって研究活動が制限される中,科研費の有効利用を念頭におき,社会に貢献できる研究を実施することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は本研究の初年度にあたり,当初の計画としては,実験室実験とフィールド実験を通じたデータ収集が主な目標とした。しかし,新型コロナウイルス感染症流行の状況に鑑み,採択後直ちに研究計画の見直しと調整を実施し,実施の見通しが立たない海外でのフィールド実験を延期し,実施可能な実験・研究のみ集中するように方針を変えた。また,感染症流行に特化した研究を新たに実施するなど,科研費の有効活用のために研究計画を機動的に調整した。その結果,令和2年度は査読論文5編(うち,第1著者4編)が公表され,当初の計画を大幅に上回る研究業績を収めた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は新型コロナウイルス感染症流行のため海外でのフィールド実験を延期したが,令和3年度は,状況に応じて調査期間と調査地を見直し,優先順位を検討した上で機動的に実施する予定である。そのうち,ケニアでの調査は令和4年度以降に延期する。フィンランドでの調査は,感染症流行の状況を鑑み,調査できる条件が揃えば令和3年度中に実施する。また,アジアでの調査は,タイ北部から中国西南部に調査地を切り替えて実施する予定である。その理由は,①中国の感染症流行状況が収まったこと,②タイ北部と中国西南部は地理・文化・民族的特性に類似点が多いため,③代表者がタイ北部と中国西南部の両方で調査実績があり,調査地の切り替えが円滑にできるためである。また,北部以外のタイでのフィールド実験は,次年度以降に予定通りタイで実施する予定である。 海外でのフィールド実験の予定は以上だが,日本でのフィールド実験,実験室実験並びにオンライン実験・調査は,昨年度の経験を活かして継続的に行う予定である。感染症流行の状況に応じて随時検討と調整を行い,今年度の研究も計画以上の進展を目指して推し進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行により,調査結果を見直した結果,海外でのフィールド調査は次年度以降に延期したため,次年度使用額が発生した。次年度以降の海外フィールド調査に使用予定である。
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