2023 Fiscal Year Annual Research Report
対象への接近傾向と回避傾向を二次元で評価する心理生理学的方法の開発
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20K03480
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
松田 いづみ 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (80356162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入戸野 宏 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (20304371)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 接近動機づけ / 回避動機づけ / 葛藤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,接近-回避をそれぞれ測る質問紙について検討した。接近・回避の程度を自己報告させる簡単な方法は,「近づきたい-離れたい」という一次元尺度を用いることである。しかし,自己の状態を評価する感情価や覚醒度とは異なり,動機づけには対象がかかわるため,接近動機づけと回避動機づけが同時に生じる場合(葛藤)もありうる。 そこで,接近・回避動機づけをそれぞれ測る二次元尺度を考案した。398名が,オンライン上で9種類のシナリオを読み,そのときに感じる心理状態を回答した。そのうち4つのシナリオは,2種類の状況(食べ物・薬)において,葛藤が大きい場面と少ない場面をそれぞれ設定したものであった。半数の参加者は,シナリオ中の対象にどのくらい近づきたいか-離れたいかを,一次元尺度で9段階で評価した。残りの参加者は,自分と対象の位置関係に関する図を見た上で,対象にどのくらい近づきたいか,離れたいかをそれぞれ5段階で評価した。 食べ物シナリオでは,一次元尺度では,低葛藤の方が高葛藤よりも回避傾向が強かった。葛藤が大きいほうが覚醒度が高く動機づけも強いはずなので,この結果は直感に反する。一方,二次元尺度では,高葛藤の方が低葛藤よりも接近得点が高く,回避得点も高かった。葛藤が大きいと接近動機づけと回避動機づけが同時に強まる」という直感に合致していた。この結果より,接近動機づけと回避動機づけは別々に評価してもらうことが可能であり,提案した質問紙によって心理状態をより正確に理解できることが示された。 ただし,薬シナリオでは,一次元尺度の結果と二次元尺度の結果は同じであった。このシナリオでは,葛藤の程度をうまく操作できていなかったと考えられる。
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Research Products
(5 results)