2023 Fiscal Year Annual Research Report
生体反射を指標とした複数感覚情報の同時性に関する無意識的な知覚処理の検討
Project/Area Number |
20K03484
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
日高 聡太 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (40581161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺本 渉 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (30509089)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 感覚間相互作用 / 瞬目条件づけ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,生体の反射(瞬目)という極めて低次の無意識的な応答を利用し,複数感覚情報の同時性に関する知覚処理を網羅的に検討することであった。特に,判断や応答のバイアスが介在しないヒトの生体反射である瞬目反射と古典的条件づけ手法を組み合わせ,低次の精緻な知覚処理の存在を実証することを目指した。 コロナ禍の影響により,また当初予定していた眼球運動測定カメラを用いた計測では微細な瞬目反射を捉えることが出来ないことが判明し,研究の実施に遅延が生じていた。共同研究者の協力を得ながら,脳波計測用の電極を用いることで微細な瞬目応答を捉える環境を構築した。また,応答の指標として,複数の閾値を用いながら眼瞼反射応答,瞬目反射応答の回数を計測することとした。 その上で,今年度は,音と光が同時に提示される場面で,目に空気を吹きかけ反射を成立させる手続きを行ったあと,音と光を様々な時間ズレをもって提示する場面で,まばたき反射を計測する実験を行った。その結果,音と光が同時に提示される場面に対して,古典的条件づけが成立せず,期待した応答関数が得られなかった。そこで,音あるいは光刺激に対して反射の条件づけが成立するかを確かめるため,片方の刺激に対して条件づけ手法を導入した後,両方の刺激がランダムに提示される場面で反射が生じるかを確認した。その結果,最初に音あるいは光のどちらかに条件づけをした後では,その後もう一方の刺激に対して再度条件づけ手続きを実施したあとでも,最初に条件づけを行った刺激に対して反射が生じる傾向にあった。音と光が同時に提示される場面で条件づけが成立しなかった背景には,音か光のどちらかに対して注意等が向き,片方の刺激提示に対して反射が生じていた可能性が考えられた。
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