2020 Fiscal Year Research-status Report
Do social rewards enhance memory consolidation?
Project/Area Number |
20K03495
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北神 慎司 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (00359879)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会的報酬 / 記憶の固定 / 動機づけ / エピソード記憶 / 顔の魅力 |
Outline of Annual Research Achievements |
記憶の固定とは,学習直後の脆弱な記憶が安定した長期記憶に変化する過程であり,これまでの研究において,金銭的報酬が提示されることによって,線条体などの報酬系においてドーパミン細胞が活性化し,海馬における記憶の固定が促されることが示されている。一方,社会的報酬の一つである魅力的な顔が提示されているときに,線条体や眼窩前頭皮質(OFC)などの報酬系に関する脳領域が活性化することが認知神経学的アプローチによって示されている。したがって,魅力的な顔は,金銭的報酬と同様,記憶の固定を促進する可能性が考えられるものの,このような可能性を検討した研究は皆無である。そこで,本研究では,報酬の効果(=ドーパミンによる媒介効果)から,動機づけや注意の媒介効果を分離することを可能とするパラダイムを援用し,社会的報酬が記憶の固定に及ぼす促進効果を検討するとともに,そのメカニズムを解明することを目的とした。 本研究では,まず研究①としてこれまでの先行研究にしたがって,交絡の可能性を排除しないシンプルな形で,追試的な実験を行い,高魅力顔という社会的報酬が記憶の固定を促進するかどうかを検討する。次に研究②として,(後述の)交絡の可能性を排除できるパラダイムを援用し,研究①との結果を比較することによって,ドーパミン調整仮説の検討を行う。 研究初年度である令和2年度(2020年度)は,上記の研究①を実施する予定であった。しかしながら,新型コロナウィルス蔓延の影響で,実験室における個別実験の実施が困難であったため,実験で使用する顔画像や単語などの刺激の選定,および,顔画像の統制のための基本的属性(魅力,特異性など)の調査を予備調査を行った。さらに,学習とテストで用いられる単語に関する属性(親近性,頻度など)の予備調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題で実施される各実験は,その目的を達成するためには,いずれも対面形式での個別実験を行うことが望ましく,オンライン実験などの別の形態では,得られるデータの信頼性を担保することが困難であるなど,本研究課題の遂行にはさまざまな制約があった。もちろん,個別実験の実施のために,万全な感染防止対策を行ったが,「研究実績の概要」で若干触れたように,そもそも心理的(実験に参加することへの抵抗感など)あるいは物理的要因(政府,地方自治体,あるいは大学による要請など)により,実験参加者を募集し,かつ,個別実験を実施することが困難であった。以上の理由で,今年度(2020年度)の進捗状況は「やや遅れている」と評価せざるを得ない。 そこで,次年度(2021年度)は,新型コロナウィルスに関するさまざまな状況が改善された段階で,即座に個別実験を実施できるように,実験で使用する顔画像や単語の選定,および,顔画像の統制のための基本的属性(魅力,特異性など)の予備調査を行った。また,学習とテストで用いられる単語に関する属性(親近性,頻度など)の予備調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
個別実験の実施が可能になった時点で速やかに,研究①として,これまでの先行研究にしたがって,交絡の可能性を排除しないシンプルな形で,追試的な実験を行うことで,高魅力顔という社会的報酬が記憶の固定を促進するかどうかを検討する。そして,研究②として,交絡の可能性を排除できるパラダイムを援用した実験を実施するための予備調査および予備実験を行う。 また,やや遅れている研究課題の進捗を図るために,申請時点では予定していなかった研究アシスタントの雇用を予定している。 さらに,新型コロナウィルスの感染状況に対して柔軟に対応するべく,実験方法についても,情報収集をするだけでなく,複数の実験心理学者のアドバイスを受けることによって,現実的な推進方策を立て,これに従って各研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
本研究課題で実施される各実験は,その目的を達成するためには,いずれも個別の実験室実験という形態で行うことが望ましく,オンライン実験などの別の形態では,得られるデータの信頼性を担保することが困難であるなど,さまざまな制約があった。もちろん,万全な感染防止対策を行ったものの,「研究実績の概要」で若干触れたように,そもそも心理的(実験に参加することへの抵抗感など)あるいは物理的要因(政府,地方自治体,あるいは大学による要請など)により,実験参加者を募集し,かつ,個別実験を実施することが困難であった。以上が,次年度使用額が生じた理由である。 そこで,次年度(2021年度)では,また,やや遅れている研究課題の進捗を図るために,申請時点では予定していなかった研究アシスタントの雇用を予定している。さらに,新型コロナウィルスの感染状況に対して柔軟に対応するべく,実験方法についても情報収集をするだけでなく,複数の実験心理学者からアドバイスを受けることによって,現実的な推進方策を立て,これに従って研究を遂行する。
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Research Products
(8 results)