2020 Fiscal Year Research-status Report
Evolutional perspective of trypophobia - development of non-human primate models to explore underlying obsessive curiosity
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20K03496
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三輪 美樹 京都大学, 霊長類研究所, 特定研究員 (50645348)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 集合体恐怖症 / トライポフォビア / 非ヒト霊長類 / 怖いもの見たさ |
Outline of Annual Research Achievements |
集合体恐怖症トライポフォビアの機序解明のための非ヒト霊長類モデル作製とトライポフォビアの「怖いもの見たさ」立証を目的として、コモンマーモセットを用いた検討を開始した。まずは非ヒト霊長類モデル作製のためアダルトでの検討に着手した。 当初の予定では研究代表者らが独自開発したマーモセット用認知実験装置を用いて飼育室内で実施する予定であったが、より精密な行動および音声解析のためには防音装置内での実験が好ましいことが判明した。そのため、本研究の目的に適う実験装置を新規に開発・作製した。使用に足るものとなるまで複数回改良を重ねたのち運用を開始したところ、関連先行研究と異なり本実験環境下では馴化開始時点から警戒のコールをほとんど発しないことが判明した。警戒コールの発声有無が呈示刺激に対する嫌悪や恐怖を示す有用な指標となる可能性が示唆された。また、行動評価についても深層学習によるマーカーレスの行動トラッキング法が有用であることを確認し、エソグラムに基づいた行動発現とともにトラッキングによる行動量評価および刺激注視時間を指標とすることとした。呈示刺激についても新規装置内で使用するにあたり条件の至適化を図った。 同時に、内分泌系指標評価のための唾液および尿のコルチゾール測定にも着手した。尿サンプルに関して、安定採取のため正の強化による排尿トレーニングも試みたが、トレーニングにかかる期間と個体差、および得られるサンプルの質に問題があり、また最終的に確定した実験プログラムでは刺激呈示時の内分泌環境が尿中に反映しないことが推察されたため、唾液での評価に絞ることとした。そのための唾液採取およびその後のサンプル処理などについて検討を重ねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まだアダルトでの傾向を把握する段階に至っていないが、コロナ禍により研究活動が停止・制限された期間が数ヶ月に及んだことや新規に装置開発した点を鑑みると、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
アダルトでの検討を続行する。具体的には、呈示刺激を4条件(トライポフォビアを惹起する刺激、捕食者刺激、同種他個体刺激および中立的刺激)用意し、各条件下での行動および音声解析を実施し比較検討する。 平行して内分泌指標評価の検討も進める。具体的には、刺激呈示前後で唾液中コルチゾールに変化が認められるかどうか確認する。そのために目的に適った唾液採取方法と測定方法の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
(理由) 解析方法の変更により画像解析用ソフトが不要となるなど当初の経費予定も変更されたため。またコロナ禍で研究活動の停止と制限を余儀なくされたため。 (使用予定) 行動解析記録用メディア、内分泌評価のための試薬および消耗品購入、実験装置用部品等の購入に使用する。
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