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2023 Fiscal Year Research-status Report

加齢による社会性低下機構の解明―感情と抑制機能を中心とする検討

Research Project

Project/Area Number 20K03497
Research InstitutionOtemon Gakuin University

Principal Investigator

大塚 結喜  追手門学院大学, 心理学部, 特任助教 (60456811)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 志澤 美保  京都府立医科大学, 医学部, 教授 (00432279)
佐藤 鮎美  島根大学, 学術研究院人間科学系, 講師 (90638181)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2025-03-31
Keywords高齢者 / 実行系機能 / 社会認知
Outline of Annual Research Achievements

高齢者の認知機能に関する従来の研究は記憶の低下に主たる関心を置いてきたが,本研究は社会性低下メカニズムを解明することを目的とする.また近年,自己申告に基づいた睡眠時間の長さが高齢者の認知課題成績と関連を示すことが知られており,睡眠時間が短すぎても長すぎても高齢者の成績が低いことがわかっている.そこで令和5年度には,日本語版「目から心を読むテスト」で測られる社会性機能と日本語版Montoreal Cognitive Assessment(MoCA)で測られる認知機能の成績と睡眠時間の関連性を検討した.その結果,年齢と睡眠時間の長さの間にしか有意な相関が認められなかった.長すぎる睡眠時間の影響が年齢の高い高齢者でなら認められる可能性があったため,年齢の低い高齢者(young-old; 65~73歳; 43名)と年齢の高い高齢者(old-old; 74~85歳; 41名)の2群に分けたうえで,各群における認知課題成績の個人差と睡眠時間の関連性を更に検討した.その結果,日本語版「目から心を読むテスト」については両群で睡眠時間との関連性を発見できなかったが,MoCA得点についてはyoung-old群で睡眠時間と正の相関が有意傾向であったのに対し,old-old群では有意な負の相関が認められた.すなわち社会性機能と睡眠時間に関連は発見できなかったが,認知機能については年齢の低い高齢者では睡眠時間が長いほど成績が高く,年齢の高い高齢者では睡眠時間が長いほど成績が低いという逆の可能性が示された.以上の認知機能についての成果を,日本ワーキングメモリ学会大会で発表した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け,本研究の進捗はやや遅れている状況である.とくに重篤化リスクの高い高齢者を対象とする実験については実施に慎重にならざるをえず,感染対策を講じたうえで感染拡大がある程度収まっている時期に集中的にデータを取得する必要があると判断し,令和3年度にMRI(こころの未来研究センター連携MRI研究施設使用)を用いて高齢者約90名を対象に脳構造データを取得し,MRI外で取得した日本語版「目から心を読むテスト」や抑制能力の指標との関連性を検討する計画に変更した.令和5年度は脳構造データについてNODDI(neurite orientation dispersion and density imaging)による分析を完了したものの,分析結果を共同研究者と議論した結果,高齢者の社会認知に関わる脳構造に生じている変化をNODDIで特定することは困難であると結論づけざるをえなかった.そこでVoxel-based morphometry(VBM)とTract-Based Spatial Statistics(TBSS)による分析で明らかになった,日本語版「目から心を読むテスト」の成績差につながる灰白質領域と白質領域から高齢者の社会性低下機構をモデル化し,その成果を論文としてまとめ,査読付き国際学術誌に投稿した.また睡眠時間の長さが高齢者の認知課題成績と関連を示すという新たな知見を取り入れ,令和3年度にMRI外で取得した各種行動データと睡眠時間との関連も検討する追加分析を実施した.その結果,社会性機能と睡眠時間に関連はなく,認知機能だけが睡眠時間の長さとの関連を示した.この結果は社会性低下メカニズムが認知機能低下メカニズムと分離している可能性を示す極めて重要な知見であり,この結論で間違いないことを確認するために更なる追加分析を進めている状況である.

Strategy for Future Research Activity

令和6年度は,VBMとTBSSによる分析によって明らかになった,高齢者の日本語版「目から心を読むテスト」の成績差につながる灰白質領域と白質領域から高齢者の社会性低下機構をモデル化した成果を引き続き査読付き国際学術誌に投稿し,発表を目指す予定である.また令和5年度に新たに得られた「社会性機能と睡眠時間に関連はなく,認知機能だけが睡眠時間の長さとの関連を示す」という知見を裏付けるべく,更なる追加分析を進める予定である.睡眠時間との関連という観点からも,高齢者の社会性低下機構についてモデル化を進める予定である.

Causes of Carryover

令和5年度に新たに得られた「社会性機能と睡眠時間に関連はなく,認知機能だけが睡眠時間の長さとの関連を示す」という知見を裏付けるべく,更なる追加分析を進める必要が生じた.この追加分析に必要なソフトウェアとPCを購入する予定である.

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 高齢者における睡眠時間と認知機能の個人差の関連性2023

    • Author(s)
      大塚結喜・中井隆介・板倉昭二・志澤美保・佐藤鮎美・阿部修士
    • Organizer
      日本ワーキングメモリ学会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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