2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K03512
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
雪江 明彦 京都大学, 理学研究科, 教授 (20312548)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 概均質ベクトル空間 / 密度定理 / GIT |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度から2022年度の間に雪江は5本の論文、合計343ページを発表した。大きく分けて (1) GIT stratification に関する論文3本 (2) 直交群の非正規玉河数の密度に関する論文 (3) tri-Hermitian form に関連した結果に分けられる。 (1) は4部作の予定の論文だが、そのうち1-3部まで発表した。特に第3部は160ページの大作である。第1部では、GIT stratification のパラメータ集合がコンピューターで計算できることを示し、群が一般線形群の直積である重要な場合に、それを実行した。第2部では第1部で計算した結果を使い、そのパラメータに対応する Stratum が空集合かどうかを判定し、空集合でない場合には、それに含まれる有理軌道を2つの概均質ベクトル空間の場合にすべて決定した。第3部では同じことを「quintic case」と呼ばれる概均質ベクトル空間の倍に実行した。 (2) 直交群の非正規玉河数の密度はZ上の場合には Siegel によって70年前に決定された。Q上の場合は数えるものが少ない。一般に少ないものを数えるほうが難しい。この場合のゼータ関数の極は30年前に雪江が決定し、その結果を利用して早坂と1,2部まで発表し、この結果も10年以上前に結果を決定済だったが、諸事情により発表に至った。 (3) k^2 の3つのテンソル積は gl_2 の3つの積が作用する概均質ベクトル空間だが、3次体のガロア閉包のガロア群を作用させることにより、non-split form を持つ。この概均質ベクトル空間から期待できる密度定理は3次体Kを固定し2次体Fを走らせたとき h_{KF}R_{KF}/h_FR_F の密度である。今回この密度を決定した。これは少し前に発表した、第1部の論文の続きで第2部である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来目指していることはかならずしも進展していないが、以前から研究中の GIT stratification や密度定理のいくつかを証明したという点では、研究は進展した。特に GIT stratification の一番面白く、また複雑な場合である、GL_5xGL_4 の \wedge^2 k^5 の場合の stratification を決定し、不安定点の部分は 61個の strata になり、すべて有理軌道も決定するのに 160 ページを要したが、この場合には満足いく結果が得られた。また2次形式に付随した直交群の非正規玉河数の密度は古結果だが、出版するのに苦労した。しかし、結果的にアクセプトを取ることができた。この結果は70年ぶりに Siegel の結果にフィルター化プロセスを適用したものとなっている。 tri-Hermitian form については、固定された3次体が非正規の場合は、デデキントゼータの留数の比密度となり、今までにはないような結果になっている。その仮定では、有理軌道は必ずしも2次体と1対1に対応するわけではないが、フィルター化プロセスを適用する仮定で1対1対応になるという新しい面をみつけた。ただし、概均質ベクトル空間の観点から連分数の拡張にあたるものを考えるというプロジジェクトについてはほとんど進展がなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
GIT stratification についてはまだ第4部が完成していないので、それを継続して田嶋和明とともに研究する必要がある。また、第3部で大きい概均質ベクトル空間に含まれる小さい概均質ベクトル空間の GIT stratication はある意味大きいほうの GIT stratification からかなりの部分で従うことを証明したが、それを実際に小ニューターによる計算なども交えて、例えば \wedge^3 k^7 の GIT straticiation とかかなりの数の概均質ベクトルに対して適用して、GIT stratification を決定することはできると思うので、それは実行していきたい。それができたら、新たな場合について大域ゼータ関数とか、密度定理とか研究していきたい。特に2変数のエルミート行列の対の空間については全て実行して密度定理も証明したのだが、3変数のエルミート行列の対の空間については大域ゼータ関数も極は決定できる見込みもあるとともに、期待できる密度定理は固定した2次体と3次体を走らせたとき、3次体とその合成体のデデキントゼータ関数の留数の比の密度を決定できることが期待され興味深いので、その方向で研究も進めたい。
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Causes of Carryover |
コロナのために出張は招聘などが十分できなかったため。
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