2021 Fiscal Year Research-status Report
擬尖点形式を用いた跡公式の分割と保型形式及びゼータ関数の研究
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20K03515
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
権 寧魯 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (30302508)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ワイルの法則 / ヒルベルトモジュラー群 / セルバーグゼータ関数 / 高階の導関数 / 非ユニタリ表現付き跡公式 |
Outline of Annual Research Achievements |
階数2の群の典型例である、実二次体のヒルベルトモジュラー群に対するヒルベルト・マース形式の存在に関する固有値分布の「ワイルの法則」の“高階の導関数版”について、研究を実施した。 ヒルベルトモジュラー曲面に対するセルバーグゼータ関数自体とその導関数の零点分布については、既に結果を得ていたが、今年度は2階以上の高階の導関数の零点分布について研究し、その零点の個数を評価する漸近公式を新たに得ることに成功した。また、高階の導関数の零点の実部の臨界線からの距離の分布についても研究し、2階以上の高階の導関数の場合にしか現れない、“対数関数で表示される”新たな項を求めることにも成功した。以上の結果は、ヒルベルトモジュラー曲面上のラプラシアンのスペクトル、固有空間の次元評価に関連して非常に重要であると言える。 あわせて、階数1の群に対する非ユニタリ表現付き跡公式の研究を行った。離散部分群のいくつかの特別な非ユニタリ表現を選び、いくつかの重さに対する跡公式を組み合わせると、ある階数2以上の群に対するセルバーグ型ゼータ関数に類似したゼータ関数が現れ、そのゼータ関数の解析接続を示すことができた。また、非ユニタリ表現をいろいろと取り換えることにより、様々なタイプのセルバーグ型ゼータ関数が現れることがわかり、大変興味深いと言える。この方法の拡張や、力学系のゼータ関数との関連を調べることや数論的な応用を考察することはこれからの課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒルベルト・マース形式の存在に関するラプラシアンのスペクトルや固有空間の次元の評価に必要なセルバーグ型ゼータ関数の“高階の導関数”の非零領域についての詳細な評価が得られたことと、非ユニタリ表現付き跡公式を用いたセルバーグ型ゼータ関数の研究手法の発見は、他の階数2以上の場合への拡張やさらなる数論的応用が期待できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
非コンパクトな設定で、階数1の非ユニタリ表現付きの跡公式について研究をすすめる。あわせてこの跡公式から得られるセルバーグ型ゼータ関数の解析的性質を調べることで、数論的な応用を研究する。また、Pollicott と Sharp による Higher Teichmuller 理論に現れるゼータ関数との関連を調べる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、国内外の研究打ち合わせのための出張が全てキャンセルになり、次年度に持ち越しとなった。次年度に改めてスケジュールを調整し、研究討論・打ち合わせを行うための旅費に使用する。
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