2020 Fiscal Year Research-status Report
Classifications of compact complex manifolds admitting non-isomorphic endomorphisms
Project/Area Number |
20K03518
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
藤本 圭男 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90192731)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自己正則写像 / 端射線 / 極小モデル計画 / ベクトル束 / Atiyah 曲面 / ESP / FESP |
Outline of Annual Research Achievements |
コンパクト複素多様体 Xから自身への全射正則写像 fは同型写像でないとき, 非同型な自己正則写像(endomorphism)という. Xが射影代数多様体ならばfは有限写像, 更にXの小平次元が非負ならばfは不分岐である.私の研究目的は, 同型でない自己正則写像を数多く持つコンパクト複素多様体Xの構造を分類論の視点から出来る限り具体的に調べることである。それは楕円曲線・アーベル多様体・トーリック多様体を含むクラスであり、非常に簡明な構造を持つと予期される. 特にXの小平次元が負の3次元非特異射影代数多様体で写像がエタール(局所的に1対1)の場合に端射線の理論を駆使してその構造を研究してきた。今年の成果はそれらの分類が有限エタール被覆をとる操作で完成したことである。自己正則写像の拡張としてESPというピカール数が一定の非特異射影代数多様体の間の非同型な有限エタール射の無限列を発案し, 極小モデルプログラムがESPの範疇ではうまく機能することを見出した. 特に `FESP’という因子型の端射線を持たぬ特別なESP(いわば極小モデルの代用品)を解析することにより, 本来の多様体の構造を調べる方法を採択した. 今年度は分類の最終段階としてFESPが楕円繊維曲面の上の射影束の場合の研究を行った. 一つの例外を除き, 端射線Rの中から 非同型な自己正則写像fの適当な反復合成で不変なものが見出せることを示した. 特に元来の自己正則写像fをその反復合成や自己同型写像との合成写像で取り換える立場に立てば, 唯一の例外を除いて全ての場合に極小モデルプログラムが自己正則写像の範疇で機能すること, その結果, 元の多様体Xの構造は, Xを適当な有限次エタール被覆で置き換える操作の下では6通りに分類できることを証明した. 10数年来継続してきた研究はほぼ完成し,その成果は論文にまとめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小平次元が負で非同型なエタール自己正則写像を許す射影代数多様体の分類は理想的な形で完成した. 以前の成果を2編の論文にまとめて投稿中であるものの、長編であるせいか査読に時間を要し(3年半)査読者との応答はあるものの, 未だ正式に受理されていない. 結果, 今年度の研究結果を論文にまとめたが投稿中の論文の結果や用語も適宜引用しているため, 以前の論文が正式に受理されるまで投稿できずにいるという事態が生じている. そのため, 申請書に記載した次の研究課題になかなか取りかかれないでいる. 更にコロナ禍のせいで他大学に出張してセミナーで研究内容を詳細に議論することが出来なくなった. 特に昨年度は他大学図書館で論文をダウンロードすることが出来ず, 研究をする上で大きな支障となった.
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Strategy for Future Research Activity |
今年のセミナー開催は依然として不可能であるものの, 他大学図書館で論文をダウンロードすることが可能となり研究環境は大分と改善された. この機会に関連論文を読んで自己正則写像の研究に活用するつもりである. 3次元の分類結果をサンプルとして特異点を持つ代数多様体にまで分類結果を拡張することが目標の一つである. その手段として非同型な自己正則写像によって保存される新型のデータを見出すことが有効である.
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Causes of Carryover |
コロナ禍で他大学に出張してセミナー・研究集会に参加することが出来なくなったため差額が生じた. 今年度は高性能ノートパソコンの購入に充てるつもりである.
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