2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K03521
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
木田 雅成 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 教授 (20272057)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ガロア群 / 逆ガロア問題 / デデキントゼータ関数 / 数論的同値 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も昨年度に引き続き, 論文の精読を中心に研究をすすめ, 次のような研究成果をえた.
前年度は いくつかの異なる代数体の Hecke L 関数が一致する条件を考察し,ある群論的な仮定のもとで結果を得ることができたが, 本年度はこの問題に関連して, 代数体の数論的同値に関して考察した.数論的同値な代数体とは Dedekind ゼータ関数が一致することで特徴づけられる. 共役な体の Dedekind ゼータ関数が一致することはあきらかなので, 共役でない体を考えるのが自然である. 本年度の研究で, ガロア群が位数が2の冪である, あるアフィン変換群と同型なガロア拡大の中に,共役でなく数論的同値になる体をたくさん構成できることが明らかになった. 2つ以上の数論的同値な体の組の例はこれまでに知られておらず, 本研究がはじめての例を与えたことになる. 本結果は現在学術雑誌に投稿中である. ひきつづき Artin L 関数についても同様の研究をすすめている.
そのほかにも, まだ成果をまとめる段階にはいたっていないが,次のような研究を行なった. (1) 非退化な CM タイプをもつ CM 体の構成. (2) 代数体の最小分岐問題とガロア群の同質類の関係. 特に(2) の問題は代数体で分岐する素数の最小個数を群の同質類で制御するという目標をもった研究であり, 本研究課題の一つの核をなす課題と位置付けている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に引き続き,コロナウィルスによる授業負担が多く, 出張ができなかったために研究集会への出席も限られた一年であった. 物理的にも精神的にも厳しいものがあったが, その中で研究を地道に続けることができ, なんとか成果を上げることができたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は研究集会等への出張を増やし, 研究のために資料収集, 共同研究者のとのディスカッションなど研究に集中できる環境・状況を積極的に作っていきたい. 研究の方針については, 申請時の研究計画からの大きな変更はない.
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響で研究集会への出席ができず旅費に余剰が生じた.
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Research Products
(3 results)