2020 Fiscal Year Research-status Report
Commutative Ring Theory via Resolution of Singularities
Project/Area Number |
20K03522
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
渡辺 敬一 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (10087083)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 正規特異点 / 整閉イデアル / 楕円型特異点 / normal reduction number / Girenstein 環 / 半群環 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は2次元の正規特異点における整閉イデアルに関して,「楕円型イデアル」(elliptic ideal), 「強楕円型イデアル」 (strongly elliptic ideal) の概念を導入し,その性質を研究した.2次元の特異点に対して,正則の次に「良い」特異点が「有理特異点」でその次に良い性質を持つものが「楕円特異点」である.イデアルに対して,山形大学の奥間智宏教授,日本大学文理学部の吉田健一教授との共同研究で「pg-イデアル」の概念を研究して来たが,「pg-イデアル」は「有理特異点」と同様な挙動を示し,「有理特異点」は「全ての整閉イデアルが pg-イデアルである」という性質で特徴付けられる.これと同様に「強楕円型特異点」は「全ての整閉イデアルが pg-イデアルであるか,または強楕円型イデアルである」を満たし,楕円型特異点は「全ての整閉イデアルが pg-イデアルであるか,または楕円型イデアルである」を満たす. (この命題の逆が成り立つか否かは大変興味深い問題だが,未解決である.) また,楕円型イデアル,強楕円型イデアルはイデアルの normal Hilbert 係数や,そのイデアルの Rees 代数を用いても定義される.これらの研究結果は上記の奥間教授,吉田教授と Genova 大学の Rossi 教授との共同研究の成果である. また,半群環の構造を F.S. Macaulay によって前世紀に導入された「逆系」 を用いて記述する研究を行なった.この概念を用いる事により,Gorenmstein 半群環の特徴付けが見やすくなる.この研究 日本工業大学の衛藤和文教授との共同研究である.コロナのため 2020 年度に予定されていた全ての研究集会が延期または on line 開催になって,本研究の研究経費の主たる使用目的である旅費の使用が不可能になったので,2021 年度以降に繰り越して使用予定である.On line セミナーのために必要なノートパソコン,書画カメラ等は本研究費より支出した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の計画を提出した後に Genova 大学において Rossi 教授との共同研究を行い,「楕円型イデアル」の概念を着想したのは大変大きな成果であった.これにより elliptic, strongly elliptic ideal の研究という大きな研究目標ができた. 具体的には strongly elliptic ideal の core の研究を進めて行きたい. インドの IIT Bombay 校での on line seminar に出席することにより,半群環の研究に対して Macahlay の逆系を用いる 発想を得たのは大きな成果であった.この手法を用いた Gorenstein, Almost Gorenstein 半群環の研究が大きく進展すると思われる. 反面,コロナのために実際に対面で話す機会が全くなくなり,on line での交流は自ずから大きな制限があり,大変大きな障害となっている.研究計画で予定された国内・国外の研究者たちとの研究集会における交流が早く復活することを強く願う次第である.
|
Strategy for Future Research Activity |
これに関する現在の課題としては,「楕円型イデアル」の概念を用いた「楕円型特異点」の特徴付けや,2種類の normal reduction number が異なる例 (このような例は本研究によって初めて発見された) がどのような環に対して存在するかを決定することである.また,2次元のイデアルの研究の延長として3次元の整閉イデアルの正規 Hilbert 関数の幾何的特徴づけにも挑戦して行きたい. 半群環については計算ソフト GAP などを用いて色々な数値実験を行い,その結果を見ながら Gorenstein, Almost Gorenstein 半群環の性質を明らかにして行きたい. 当面は on line で国内,国外の研究会に出席して情報収集を行うが,数ヶ月以内にはコロナの影響が低下すると思われるので,共同研究者と実際に対面で共同研究を行なって行きたい.そのために国内,国外の旅費を使用したい.一方当分 online seminar が行われると思われるので,そのための機器の購入にも研究費を支出したい..
|
Causes of Carryover |
国際,国内の研究集会,共同研究のために旅費を計上してあったが,コロナのために全て中止,延期またはオンライン開催になり,その支出ができなかった,この未使用分については,今年度,来年度に使用する計画である.
|
Research Products
(6 results)