2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K03535
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
早坂 太 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (20409460)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 正則局所環 / 整閉イデアル / 整閉加群 / 直既約加群 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、2次元正則局所環上の直既約整閉加群の存在に関する研究を行い、整閉単項式イデアルに付随する直既約整閉加群で任意階数のものを具体的かつ大量に構成した。Zariskiによって創始された2次元正則局所環の整閉イデアルの理論は、Kodiyalamによって整閉加群の理論に拡張(高階数化)された。Kodiyalamは、整閉単純イデアルに付随する任意階数の直既約整閉加群の存在を示して、この拡張(高階数化)が非自明なものであることを明らかにした。そして「直既約整閉加群に付随する整閉イデアルは単純か?」という問いを提出した。この問いは、研究代表者によって階数2の場合に否定的に解決されていたが、階数3以上では未解決であった。階数2の場合の構成法は、与えられた整閉単項式イデアルの単純成分に着目し、現れる成分ごとに具体的な直既約整閉加群を考えるものであった。そこで、この構成法の単純化に取り組み、「直既約でない整閉加群の構造定理」および「整閉加群と付随するイデアルのcolengthに関する不等式」を得て、「(単純とは限らない)整閉単項式イデアルに付随する任意階数の直既約整閉加群の具体的構成」に成功した。これにより、2次元正則局所環上の直既約整閉加群は、任意階数において予想よりもはるかに多様に存在することがわかった。これは、Kodiyalamが展開した整閉加群の理論の非自明性を強化するとともに、(単項式イデアルとは限らない)整閉イデアルに付随する直既約整閉加群の遍在性を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題のひとつであった「直既約整閉加群の遍在性の解明」について、単項式イデアルの場合に期待していた結果が、予想よりもはるかに単純な形で得られた。この成果は論文としてまとめ雑誌に投稿予定である。また、この過程で得られた整閉加群に関する構造定理は、正則という仮定を弱めても正しい主張で、もう一つの課題である「2次元正規局所整域上の整閉加群の研究」への応用が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、直既約整閉加群の遍在性に関する研究を行う。これまでに得られた具体的構成法を手掛かりに、一般の(単項式イデアルとは限らない)整閉イデアルに付随する直既約整閉加群の存在(構成法)を明らかにしたい。研究は、もう一つの課題である「2次元正規局所整域上の整閉加群の研究」も念頭に進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で参加を予定していた研究集会等が中止になり、そのための旅費を繰り越した。これは次年度における旅費およびオンライン研究環境の整備に使用する計画である。
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