2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on Hilbert schemes from the viewpoint of morphisms of algebraic varieties
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20K03541
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
那須 弘和 東海大学, 理学部, 准教授 (30535331)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヒルベルトスキーム / 無限小変形 / 障害 / 無限小変形 / ファノ多様体 / 楕円曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な研究実績は以下の通りである: 1. 非特異3次元ファノ多様体上の曲線のヒルベルトスキームに対し、多様体上の楕円曲線を用いて、生成的に被約でない既約成分を持つための十分条件を与えた。 2. 3次元射影多様体上の曲線の1位無限小変形の障害性に関する以前の結果(Internat. J. Math. 28(13) (2017) 1750099の定理3.3)に誤りを発見し、定理を修正した。 これまでの研究により、多くの非特異3次元ファノ多様体に対し、その上の非特異連結曲線のヒルベルトスキームが上記のような非被約成分を持つことが知られていた。その証明の中で多様体上の有理曲線とその変形が多様体全体を覆うという事実が鍵となった。本研究では、有理曲線に限らず、楕円曲線を用いてもそのような非被約成分の存在を証明できることがわかった(結果1)。一方、向井・那須(2009)では、3次元射影多様体上の曲線の1位無限小変形に対し、2位変形にリフトしないための十分条件が与えられた。上記の定理3.3ではこの結果の一般化が与えられたが、その主張と証明に誤り(反例も)が発見され、定理を修正した(結果2)。結果2は修正論文としてInternat. J. Math. 31(12) (2020) 2092001に採録された。また代数多様体の射の視点からのヒルベルトスキームの研究を開始し、本年度は高次元射影空間に含まれる空間曲線に対し、その射影と曲線の障害性との間の関係について詳しく調べた。 2020年10月には、伊藤敦氏(名古屋大)と佐藤拓氏(福岡大)と共同で、城崎代数幾何学シンポジウム2020をオンライン(Zoom)上で開催した。両氏と共同で編纂した本シンポジウム報告集が2021年1月に京都大学の情報レポジトリ紅(KURENAI)より発行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文2本が出版された。また、コロナ禍のもと、開催が心配されていた城崎代数幾何学シンポジウム2020を無事に開催することができた。自身の以前の結果の誤りの修正により、曲線の変形障害に関する理解が進んだ。定理3.3のさらなる精密化と定理の広範囲への応用が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
エンリケス・ファノ多様体のヒルベルトスキームの研究から着想を得た代数多様体の射の視点を大事にし、同視点からヒルベルトスキームの性質を捉え直すことにより、ヒルベルトスキームの研究を強力に進めて行きたい。
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Causes of Carryover |
予定していた研究集会の開催がオンライン開催となるなどの理由で未使用額が生じた。次年度は計画的な予算執行に努める。
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