2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on Hilbert schemes from the viewpoint of morphisms of algebraic varieties
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20K03541
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
那須 弘和 東海大学, 理学部, 教授 (30535331)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヒルベルトスキーム / 変形障害 / 空間曲線 / デルペッゾ曲面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な研究実績は以下のとおりである: 1. 次数dが3または4の非特異del Pezzo曲面に含まれる空間曲線に対し、曲線の射影空間内での変形障害を計算し、ヒルベルトスキームの非被約成分の例を新たに構成した。 2. Gruson-Peskineが与えたP^3のヒルベルトスキームの非被約成分の例('82)について再考察し、非正規3次曲面に含まれる空間曲線の変形障害と曲線の射影の間の関係について調べた。 非特異3次曲面(d=3)に含まれる空間曲線の変形障害については、近年の報告者の研究(arXiv:1909.08452)により、曲面上の直線(第1種例外曲線)との関係が注目され、理解が進んでいる。本研究では結果を一般次数のdel Pezzo曲面の場合に一般化するため、d=4の場合について考察し上記の結果を得た。またd=3の場合のKleppe-Ellia予想に関する結果を雑誌に(再)投稿したところ、出版への肯定的な意見を含んだレフェリーレポートが本報告の直前に送られてきた。小さな修正が必要との指摘があり、修正および再々投稿を予定している。 本研究課題の主題である射と障害の関係について調べるため、被障害曲線(obstructed curve)の具体例の構成にも取り組んだ。P^4内の3次スクロールのP^3への一般射影は非正規3次曲面に等しい。3次スクロール上の曲線の変形と非正規3次曲面上の曲線の変形を比較し、射影と障害の関係について調べた。 2021年9月にはドイツOberwolfach研究所と京都大学数理解析研究所をZoomでつないで行われた共同ワークショップ ”Symmetries on Polynomial Ideals and Varieties” に参加し研究上の刺激を受けた。ヒルベルトスキームに関する有益な情報が得られたことも良かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は2020年度に引き続き、教務関係で新型コロナへの対応に追われた。また所属先の大学において学部改組とカリキュラム再編があり、学内業務の負担が大変大きかった。対面研究集会の数が減り、同分野の研究者との意見交換の機会が減ったことも一因として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで以上に射と障害の視点からのヒルベルトスキームの研究を強力に進めていく。そのためには具体例の構成が不可欠である。現状では例が不足しているので、まずは空間曲線のヒルベルトスキームの場合を詳細に調べる。とくに射影に付随して障害が生じ、その結果ヒルベルトスキームが非被約成分を持つような例を構成したい。研究の進め方についても、オンラインの研究集会にもっと積極的に参加するなど、同分野の研究者たちと交流の機会を増やし、可能であれば学内の研究者にも協力を求める。また新型コロナ感染状況が少し落ち着けば、対面研究集会にも参加したい。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた研究集会がコロナによりオンラインで行われたなどの理由で残額が生じた。次年度は対面の研究集会にも参加するなどし、予算の計画的な執行を心がけたい。
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