2022 Fiscal Year Research-status Report
Hopf-Galois theory applied to supergeometry
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20K03552
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
増岡 彰 筑波大学, 数理物質系, 教授 (50229366)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ホップ代数 / ホップ・ガロア拡大 / トーサー / スーパー・スキーム |
Outline of Annual Research Achievements |
スーパー幾何学とは,偶・奇で次数づけられたベクトル空間全体が,所謂スーパー対称性に関して成す対称テンソル圏を足場とする幾何学のことである.その研究が本格的に始められた1970年代から,主に微分幾何学的手法が用いられており,代数(幾何)学的手法の開発は遅れている.近年盛んなスーパー代数群の表現論においては,「個々の対象に関して得られた結果がより一般に成り立つか」という問題がしばしばおきた.それに答えるべく研究代表者は,ホップ代数の手法を用いてスーパー代数群の一般論を展開してきた.本研究は,とくにホップ・ガロア理論をスーパー幾何学に応用しようとするものである.ホップ・ガロア拡大は,代数幾何学におけるトーサーを座標環の言葉に翻訳したものであるが,非可換代数の拡大に対しても意味を持つため,幾何学的不変式論の非可換化として可換および非可換環論の手法を以て研究されてきた.その成果に基づき,「ホップ・ガロア理論が特殊なデサント理論―通常の忠実平坦デサントと異なり,射影的生成素デサントとでも呼ぶべき―である」という信条に達した.それを支えに,当該年度は2つの研究成果を得た.(1)アフィン・スーパー代数群の積分の研究:積分をもつスーパー代数群の特徴づけ.積分を表示する公式.積分を持つスーパー代数群が作用するトーサーの記述など.(共著として Communications in Algebraに発表.)(2)アフィンと限らない,一般のスーパー代数群の研究:ハリシュ-チャンドラ対を用いた記述.Barsotti-Chevalley型定理の証明.スーパー代数群の商がスーパー・スキームであることの証明,またその構造層の記述など.(国際共同研究.共著として Journal of Algebraに発表.)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アフィン代数群の積分、またスーパー・スキームのアフィン代数群の作用による商について、期待通りの結果が得られている。スーパー代数群の商に関しては、アフィンでない場合も含め解明が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者が、スーパー代数群の一般論を整備しようと思ったのは、表現論への応用が動機にあった。スーパー代数群Gの商G/Hに関して応用が大いに期待できる課題として、Serganovaが提唱した「準簡約スーパー代数群Gの極小分裂部分群Hの性質の解明」に取り組む。そのようなHが必ず存在することは、商の考察からわかる。では、それは共役を除き一意的か。また、具体的なGについてそのようなHを見つける効果的な方法はあるか。
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Causes of Carryover |
研究代表者の健康上の問題、コロナ禍の状況悪化により予定していた出張ができなくなったため。
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