2023 Fiscal Year Research-status Report
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20K03555
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
梶原 健 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (00250663)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 対数構造 / 退化多様体 / アーベル多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アーベル多様体のモジュライ空間において、適切な退化対象を対数幾何学のなかに見出し、対数アーベル多様体論を構築して、この方面の研究に応用することを目指している。対数アーベル多様体に関する本研究は、加藤和也氏(シカゴ大学、米国)、中山能力氏(一橋大学)との共同研究である。 本年度は、昨年度に引き続き、対数アーベル多様体上の構造層や微分加群を係数とするコホモロジー群に関する研究を進めた。対数アーベル多様体は対数代数空間であり、この対象は、代数空間を対数幾何学の観点から拡張したものであり、退化多様体を扱う問題に応用するにおいて欠かせない。例えば、この空間の応用として、退化アーベル多様体にも群構造を与えるとみなせる対数アーベル多様体が定式化される。このように対数代数空間は、幾何学的研究対象として、重要である。本研究では、対数アーベル多様体に関してコホモロジー群の研究を進めている。 具体的には以下のとおりである。対数アーベル多様体のコホモロジー群に関して、平坦性を利用するため、位相の差異によるコホモロジー群を比較して、構造層や連接層のコホモロジー群の計算を進めた。成果として、アーベル多様体における微分加群や構造層のコホモロジー群の計算が対数アーベル多様体に拡張できた。証明には、対数アーベル多様体のモデルとなる代数多様体のコホモロジー群との比較に関する成果を利用した。 本研究成果として、対数アーベル多様体の基礎理論が発展し、従来のアーベル多様体論が退化も含めて拡張され、退化多様体の活用が進展することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,対数アーベル多様体の連接加群係数コホモロジー群の計算が進展し,おおむね順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
対数アーベル多様体のさまざまなコホモロジー群に関して,研究を進める.
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