2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K03565
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
都築 正男 上智大学, 理工学部, 教授 (80296946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若槻 聡 金沢大学, 数物科学系, 教授 (10432121)
権 寧魯 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (30302508)
杉山 真吾 日本大学, 理工学部, 助手 (70821817)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ユニタリー群の正則保型形式 / 周期積分 |
Outline of Annual Research Achievements |
●一般の総実代数体を定義体として、隣接する行列サイズを持つユニタリー群と部分ユニタリー群の直積の正則カスプ形式に対して定義されるGross-Prasad周期の2乗平均に関して都築は杉山氏との共同研究を進めた。レベルを固定し、正則カスプ形式の重さを行列式のべき乗によってスカラー的にtwistすることで得られる族に対して、2乗平均周期の誤差項付きの漸近公式を証明した。部分ユニタリー群に対応する対称領域の埋め込みが正則であるため、埋め込み先の正則保型形式の空間の再生核の部分領域への制限を評価する問題に還元される。部分対称領域がコンパクトな基本領域を持つケースに限ることで、相対跡公式の幾何サイドの両側剰余類における軌道積分表示を行わず、対称空間のリーマン幾何的性質を使って楕円項全体の寄与(誤差項評価)を評価する方法を開発したことが主要な1つの成果である。部分対称空間における離散群の基本領域が非コンパクトな場合の2乗平均周期の漸近式においても、誤差項評価をカスプからの寄与の評価に帰着できることを示唆するもので今後の研究において重要であると考えている。これらの成果は、当該研究の計画実施計画のうち、ユニタリー群に対する部分について方法論上有益な知見を与えるものであるといえる。研究成果は学術論文として準備中である。 ●都築は、PGL(n)のMaassカスプ形式とGL(n-1)の不分岐アイゼンシュタイン級数のRankin-SelbergL関数の2乗平均公式に向けた予備的な研究を開始し、主要項に関して予備的だが興味深い計算を行った。これは、当該研究の実施計画のうち、一般線形群にかかわる部分に一定の知見を与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該研究の目的は、離散系列以外の代数的保型形式の族における次元やヘッケ作用素の漸近挙動を調べる方法を開発することにあるが、現在までのところ従来型の研究手法が有効である正則保型形式や、(高次元の)Maass形式の大きな族についての成果しか得られていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はGL(2)保型形式の「フーリエ係数の直交性」を、アーサーセルバーグ跡公式を使ってとらえなおす試みを開始する。Petersson跡公式が利用される状況での代替利用の可能性についても具体的な状況で考察する。また、一般のユニタリー群の正則保型形式のGrossPrasad型周期の2乗平均の漸近公式について研究を完成させる。
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Causes of Carryover |
2021年度は引き続き新型コロナ感染症の蔓延によって、対面による研究打ち合わせができず、旅費として計上していた費用が未使用となってしまった。これが次年度への繰り越し発生の主な原因である。2022年度は対面での研究打ち合わせを実施して、繰り越し分を活用する予定である。
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Research Products
(1 results)