2021 Fiscal Year Research-status Report
Realization Functor of Motives and its Application to Period Integral
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20K03567
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
寺杣 友秀 法政大学, 理工学部, 教授 (50192654)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | モチーフ / 代数的サイクル / 周期積分 / 多重ゼータ値 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)パラメータに整数がある場合の超幾何関数の周期積分について。本年は2変数超幾何関数でいくつかのパラメータが整数になっている場合に2次元射影空間の4次被覆になっている場合の逆周期写像についての表示を行った。このタイプの周期写像は2次元アーベル多様体に付随するテータ関数の等分点だけではなくテータ関数の一般の点における値を用いて表示できる。考えている場合はそのアーベル多様体が二つの同型な楕円曲線の直積となっており、エクストラインボルーションの理解には楕円曲線の2分点の扱いについて注意が必要であった。 (2)円分CMを乗法にもつアーベル多様体に関する一般ヴェイユホッジサイクルの代数性について。このタイプのアーベル多様体の代数的サイクルを構成するために曲線の巡回被覆を考えることが手掛かりとなる。被覆をとるまえの曲線がアーベル多様体のテータ因子の完全交叉となる場合に帰着する。そのためにヤコビ多様体となる場合が重要で、曲線はアーベルヤコビ写像の像の被覆になっている場合に帰着する。さらに曲線の対称積の中の次元が半分の多様体を構成する有力な方法として被覆写像についての共変関手に由来するアーベル多様体の写像を考えるのが有効であることがわかった。 (3)多重ゼータ値の重さフィルトレーションに関するブロードハースト・クライマー予想へのアプローチ。楕円曲線の退化に現れるニアバイファイバーには開射影直線を埋め込むことができる。この写像から誘導される基本群の間の写像を用いると、開射影直線の基本群の新しい深さフィルトレーションと密接に関連してフィルトレーションが導入される。モチビック多重ゼータ値にもあらたなフィルトレーションが導入され、いくつかの仮定のもとに母関数をつくると、ブロードハーストクライマー予想に現れる母関数が現れる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)ヴェイユホッジサイクルの構成については、これまで変形理論的な構成にとらわれていたが、中間次元のサイクルの構成にアーベル多様体のー1倍とテータ因子の対称性を用いる方法が有効であることがわかった。今後は線形代数的、表現論的計算で非自明性が確認できることが期待できる。 (2)楕円曲線の退化と深さフィルトレーションの関係は部分的にはわかっていたが、ドゥリニュコホモロジーで様子をみることにより、その状況が把握できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ヴェイユホッジサイクルの構成については、共変関手性をつかって得られる多様体はヤコビ多様体でないときには構成できないので、これに代わる一般のアーベル多様体でも存在する代数的サイクルを構成することが必要である。このような代数的サイクルの候補はあるので、アーベル多様体の分解から定まる写像において非自明なサイクルを定めていることを示せれば目的が達成できたことになる。これは線型代数的な問題に帰着される。 (2)フィルトレーションがモチーフのレベルで構成されることがわかれば目的が達成されるが、代数的サイクルを構成する問題のまえに同様の構成法がドゥリーニュコホモロジーの段階でもうまくいっているかどうかが大きな手掛かりとなる。それを解決するには現在導入されているシグマフィルトレーションの一番小さいところの高次コホモロジーが消えていることを示さなくてはならない。ブロードハースト予想は数値的にはかなりのところまで確かめられていることを考えると、非常に確からしいことが期待される。
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Causes of Carryover |
RIMS研究集会、城崎代数幾何シンポジウムなどの国内研究集会、国際研究集会ともコロナ禍の影響で来年に延期された。これらの研究集会において研究成果の発表および研究連絡をおこなう。
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