2022 Fiscal Year Research-status Report
Branching laws for Jacobi modular forms: periods and specai L-values
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20K03569
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
村瀬 篤 京都産業大学, 理学部, 教授 (40157772)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヤコビ形式 / テータリフト / 保型L関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的であるヤコビ形式の分岐則の解明のために、楕円モジュラー形式とヤコビ形式の間の関係を与える志村ー新谷リフトをアデール的に定式化した。その過程で、ヤコビ形式の空間 SJ から楕円モジュラー形式の空間 SM への線形写像である志村リフト L と、その随伴写像として得られる新谷リフト L* の合成に関して興味深い結果が得られた。すなわち、 SJ の元 F に対し、L*(L(F)) が F の定数倍になり、しかもその定数は F の保型L関数の特殊値になるというものである。すなわち、F は、写像の合成 L* L によって「復元」される。この復元公式の応用として、F が新谷リフトの像になるための十分条件が保型L関数の特殊値の言葉によって記述できることがわかった。これまで、新谷リフトを含むテータリフトの理論においては、リフト写像の核についての結果はいくつかあったが、像についての結果はほとんど知られていなかったので、この結果は注目すべきである。以上の結果は、大阪公立大学の源嶋氏との共同研究である。 上記の復元公式は、他のテータリフトの場合にも適用が可能と思われる。実際、楕円モジュラー形式から2次四元数ユニタリ群青の保型形式へのリフトである荒川リフトについての復元公式を早稲田大の成田氏と現在共同研究を行っている。今後のさらなる展開としては、楕円モジュラー形式から3次ユニタリ群上の保型形式であるピカールモジュラー形式へのリフトである Kudla リフトについて、その復元公式を金沢大の菅野氏と共同研究を行う計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的であるヤコビ形式の分岐則については、まだ完全な結果を得ていないが、派生する研究課題(テータリフトにおける復元公式)が見いだされたことによって、研究対象が大幅に広がった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究目的から派生する課題として、テータリフトにおける復元公式を様々な場合に研究する計画である。具体的には、志村リフト、Kudlaリフトおよび荒川リフトの場合を当面考察する予定である。成田氏(早稲田大学)、菅野氏(金沢大学)および源嶋氏(大阪公立大学)との共同研究の形で行う。
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Causes of Carryover |
研究成果発表のため、海外で行われる研究集会に参加を予定していたが、新型コロナ禍によって研究集会が中止され、計画していた出張をキャンセルし旅費を執行できなかったことが主な理由である。2023年度は、国内の研究者と共同研究を行うため、東京、金沢等に出張する計画である。また、研究成果発表のため、東京、金沢、札幌等に出張する計画である。また、国際的な研究状況の把握のため、整数論関係図書の購入を行う計画である。
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