2020 Fiscal Year Research-status Report
Theory of relative cohomology for various complexes of fine sheaves and its applications
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20K03572
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
諏訪 立雄 北海道大学, 理学研究院, 名誉教授 (40109418)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 幾何学 / 複素解析幾何学 / 細層複体 / 相対コホモロジー / 特性類の局所化 / 留数 / 佐藤超関数 / 特異多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, de Rham, Dolbeault, Bott-Chern 等の細層複体の相対コホモロジーを用いて特性類の局所化を調べ, さらに局所双対性によって得られる留数を明示的に求め, その応用を図ること, および佐藤超関数を相対 Dolbeault コホモロジーによる表示を用いて研究し, 解析学・複素解析幾何学への応用を目指すことである. 2020 年度は COVID-19 の影響で直接議論による研究打ち合わせ, 口頭による研究発表に大きな制約を受けた. そのため, この機会に今までに築いた理論の再整備を行い, 将来のさらなる発展に備えることにも力を注いだ.
関数の概念を自然に拡張するものとして佐藤超関数があり, これは特に微分方程式論に画期的発展をもたらした. これは正則関数の層を係数とする局所コホモロジーを用いて定義され, 理論は導来函手の言葉で展開される. 実際に用いるには具体的に表す必要がある. 本研究代表者諏訪は相対 Dolbeault コホモロジーによる表現が極めて有効であることを見出し, この立場からの超関数論を共同研究者と展開している. 2020 年度はこれが将来より多く用いられるよう, 現在までの成果を精査, 整備した. 特に向き付けを幾何学的にも解析的にも整合させ, また超関数のファイバー積分をより分り易く, 使い易くした.
研究代表者は自身の展開する特性類の局所化理論に基づく複素解析幾何学の本の執筆を数年前に依頼され, 折をみて書き進めていた. この機会に, 幾何的交叉理論, Hodge 構造, 複素解析空間, 局所化された解析的交叉理論, 埋め込みに対する局所化された Riemann-Roch の定理等につき詳細な考察を行い書き加え, 完成に近づけた. これは複素解析幾何学および関連分野における基礎的な書物となることが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究代表者が推し進める局所化理論が発展し, さまざまな方面での応用が見出されている. 特に当初予期されなかったこととして, 佐藤超関数およびそれに関連した演算, 局所双対性等が相対 Dolbeault コホモロジー論を用いると簡明かつ明示的に表せることが分かり, 超関数論の新たな展開を見た. これにおいても, 以前より多方面で有効に用いられていた相対 de Rham コホモロジーにおける Thom 類が重要な役割を果たす. またこの Thom 類と相対 Dolbeault コホモロジーでの解析的 Thom 類との比較は複素多様体の Hodge 構造の研究に新たな見地をもたらすことが期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの研究を継続し, その発展としてつぎのような課題につき研究を行う. 1. 相対 Dolbeault コホモロジーによる超関数, マイクロ関数の表示を用いてこれらの関数の理解をさらに深め, 解析学, 複素解析幾何学等への応用を図る. 2. 複素多様体に対しては Deligne コホモロジーが定められ, その上の正則ベクトル束には Chern 類がこのコホモロジーに定められる. さらに複素解析的葉層構造に対しては, Bott 型消滅定理が成り立つことが知られている. 相対 Deligne コホモロジーの理論を構築し, 特性類の局所化, 付随した留数の解明を試みる.
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Causes of Carryover |
(理由) 計画していた研究協力者との研究打合せ, 研究発表のための旅行につき, COVID-19 の世界的流行により, 国外分は全く, 国内分もほとんど実施出来なかった. (使用計画) 当該研究課題に関わる研究協力者との研究打合せおよび研究発表のための旅費として, また当該研究課題の遂行に必要なコンピュータ機器, 図書, 文具の購入に用いる予定である.
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