2021 Fiscal Year Research-status Report
平面への安定写像と折り目リフトの組を用いた3次元トポロジーの研究
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20K03574
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山本 稔 弘前大学, 教育学部, 准教授 (40435475)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 折り目写像 / 安定写像 / リフト / ジェネリックホモトピー / ジェネリックfolding |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はまず,3次元球面から3次元空間への折り目写像で,特異点集合が2次元球面2つからなる写像fと,2次元球面1つからなる写像gとの間のジェネリックホモトピーの構成に取り組んだ.3次元空間への写像を平面,直線に射影し,それらの写像の変形を通してジェネリックホモトピーを構成しようとしたが,途中で行き詰まってしまった.折り目写像fから出発して変形していき,カスプ,スワロウテイルを持つ安定写像hまで変形することはできた.この安定写像の特異点集合は2次元球面で,赤道がカスプ,赤道上に4点スワロウテイルが存在している.しかしながらこのhとgとの間のジェネリックホモトピーの構成がうまくいかなかったため,引き続き色々試す必要がある. また,2021年度は3次元多様体から平面への安定写像が3次元空間への折り目写像にリフトするための条件も考察した.2020年度に得られた局所的なリフト可能性をもとに,大域的なリフトの構成について取り組んだ.しかしながら局所的な条件をつなぎ合わせたとき,全体として整合性がとれているか見る必要があることが判明したため,引き続き全体への拡張について慎重に考察を続ける必要がある. さらに2021年度は,秋田大学の小林真人先生と,ジェネリックfoldingに関する共同研究をおこなった.2つ組の2次形式から得られる平面への写像を摂動することで,ジェネリックな写像を構成するというものである.論文としてまとめている途中ではあるが,経過報告として,2021年度日本数学会東北支部会にて講演した.定義域のユークリッド空間の次元は2次元以上であり,写像の局所的な構成であるため,3次元空間から平面への局所的な安定写像と捉えれば,折り目写像へのリフトの研究に関係付けられるのではないかと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3次元球面から3次元空間への折り目写像で,特異点集合が2次元球面2つからなる写像と,2次元球面1つからなる写像との間のジェネリックホモトピーの構成に時間をかけて取り組んだものの,途中で行き詰まってしまった.しかしながら,このジェネリックホモトピーを構成することは,3次元空間への折り目写像や安定写像の構造をより詳しく知るために必要なことである. また,3次元多様体から平面への安定写像を3次元空間への折り目写像へのリフトする研究においては, 局所的なリフト可能な条件を列挙するだけでは不十分で,つなぎ合わせていくことができるような言葉で条件を記述する必要があることが判明した.しかしながら,条件のうまい記述方法は模索中であり,課題を乗り越えるところまで至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは2021年度の続きとして,3次元球面から3次元空間への折り目写像で,特異点集合が2次元球面2つからなる写像と,2次元球面1つからなる写像へのジェネリックホモトピーの構成に取り組む. 並行して,3次元多様体から平面への安定写像の3次元空間への折り目写像へのリフトに関する研究も継続する.局所的な条件をつなぎ合わせていけるような,リフト可能条件の良い記述方法を構築する.これをもとに,折り目写像に大域的にリフトするための条件を考察する. 2021年度行えなかった,以下の研究にも取り組みたい.レンズ空間L(p,p-3)からの折り目写像の構成のために見出した,3種の折り目写像のうち,1つはレンズ空間L(4,1)からの折り目写像であるが,残り2種類は不明である.そこで,これらもL(4,1)からの写像であるかどうかを確認する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で,旅費が使用できなかったため,次年度使用額が生じた. 2022年度も旅費の使用は難しいと予想されるが,10月から12月にかけて数理解析研究所などで開催される,訪問滞在型研究の研究集会に可能な限り参加する予定である.またトポロジー関連書籍や関連論文は継続して購入する(文献複写を含む). 加えて,2021年度購入を見送ったディスプレイやPCをなどを購入することで,オンラインでの研究打合せや論文に挿入する図の作成を円滑に行えるようにする計画である.
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