2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K03576
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
入江 博 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (30385489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 将敬 名城大学, 理工学部, 准教授 (90359688)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 幾何学 / 凸体 / 極凸体 / Mahler予想 / Mahler体積 / シンプレクティック容量 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ユークリッド空間の内点をもつコンパクト凸集合を凸体という。ユークリッド空間の中心対称な凸体のMahler体積(volume product)に関するMahler予想について、高次元の場合を考察した。3次元の場合の解決に用いた「符号付体積評価」の方法は、高次元の(中心対称とは限らない)凸体に対しても、本研究課題の着手前に得ていた。令和3年度は、この方法を用いて、凸体が(i)n次元立方体の向きを保つ等長変換のなす直交群の離散部分群の対称性をもつ場合、(ii)n単体の向きを保つ等長変換のなす直交群の離散部分群の対称性をもつ場合について、Mahler体積の下からの最良評価を得た。いずれも、向きが逆になる対称性も仮定に含めたF.BartheとM.Fradeliziによる先行研究(2013年)の拡張になっている。 2.n次元ユークリッド空間の2つの(中心対称な)凸体の積は、標準的シンプレクティック形式をもつ2n次元ユークリッド空間の凸領域とみなせ、ラグランジュ積と呼ばれている。この場合に片方の凸体についてMahler予想が成立すれば、ラグランジュ積についてシンプレクティック容量に関する一種の等周不等式であるViterbo予想が正しいことを示した。応用として、Mahler予想の部分解を用いて、シンプレクティック幾何の手法で最近活発に研究されているViterbo予想に関するいくつかの既知の結果を拡張した。この内容は、当初計画ではHofer-Zehnder容量という特別なシンプレクティック容量のみを考えていたが、一般の容量についての想定を上回る成果となった。 以上の内容は、研究分担者である柴田将敬氏(名城大学)との共同研究であり、プレプリント(arXiv:2203.13990)を公表し、現在論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度も前年度同様に、新型コロナウイルス感染症の影響のために、研究分担者の柴田将敬氏(名城大学)とのお互いの研究機関を訪問しての直接の議論を中断することを余儀なくされ、年度内1回のみの実施となった。代わりにオンライン会議システムZoomを用いて最低限の研究に関する議論を行った。使い方にも習熟してきてはいるが、やはり対面で行う議論には及ばず、研究の進捗状況に影響があった。また、研究情報収集のための国内および海外出張が十分にできず、課題の進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度もしばらくは、新型コロナウイルス感染症の影響により国内外の出張が制約されることが予想される。そのため、当面は研究分担者の柴田氏とZoomによるオンラインでの議論を行いつつ、状況を見ながらできるだけ対面での議論の機会を増やしたい。 今後の研究方針としては、引き続きMahler予想の検討を進める。研究実績の概要の項目1で述べたn次元の場合の結果において、凸体の仮定を緩めることを検討する。また、令和2年度に行ったn=3の場合の研究で残っているクラスの検討を行う。 また、新型コロナの状況に改善が見られた場合は、研究情報収集のための国内外の出張を行う。並行して、最近増えているオンラインによる研究集会へも参加し最新の研究情報を獲得する。
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Causes of Carryover |
令和3年度も前年度同様に、新型コロナウイルス感染症の影響のため、研究分担者の柴田氏と月に2回予定していた、お互いの研究機関を訪問しての直接の議論を中断することを余儀なくされ、年度内に1回のみの訪問となった。 研究計画では、柴田氏との共同研究を目的とする国内出張、最新の研究情報の獲得のための海外出張旅費が大半を占めているため、令和3年度も次年度使用額が多く生じている。令和4年度は、新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの、国内出張に関しては行いやすい状況になると思われ、共同研究を活発に行う予定である。
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Research Products
(1 results)