2023 Fiscal Year Research-status Report
Index theorem relevant to the invariants of diffeomorphism groups
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20K03580
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森吉 仁志 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (00239708)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 指数定理 / 非可換幾何 / 葉層多様体 / 微分同相群 / K理論 / 巡回コホモロジー / 等質中心アファイン曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「非可換幾何学の枠組による指数定理の拡張」と「微分同相群の不変量が関与する指数定理の展開」を目標としており,2023年度においては以下の成果を得た:1)カントール集合をコロナ空間とした指数定理(夏目利一との共同研究);2)等質中心アファイン平面曲線のなす空間の研究(黒瀬俊および藤岡敦との共同研究). 1)では,コース幾何学の指数定理を適用して,カントール集合をコロナ空間とした指数定理を確立した.この構成をさらに一般化して,コロナ空間がカントール集合とは限らない完備リーマン多様体上の指数定理への拡張も考察した.指数定理の観点からは多様体の位相が重要であることは言うまでもないが,多様体の無限遠境界として自然に出現するコロナ空間の挙動をも統制する指数定理を導入することに成功した点に大きな意義が認められる.2)では,漸近的等質中心アファイン曲線を精査して,半整数として定まる回転数を実現する指数定理の研究を進展させた.散乱理論における Levinson 定理では,シュレディンガー作用素に関する束縛状態の個数が正則関数の対数積分で与えられている.この対数積分と上記回転数を結びつける指数定理を確立し,その指数公式を得た. 1) の成果については,千里山幾何学研究会,関西大学(6月24日,2023年)および葉層構造の幾何学とその応用(12月10日,2023年)にて招待講演を行い,2)の成果については,国際研究集会 BΓ School; Homotopy theory of Foliations, Chuo University (Sept. 7, 2023)および国際研究集会 8th China-Japan Geometry Conference, Guilin, China (Sept. 11, 2023) において招待講演を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により,2022年度や2023年度においても研究集会の開催中止や開催規模の縮小の傾向が続いており,予定していた講演や研究連絡を延期せざるを得ない.例えば2024年3月にマドリードで開催された国際研究集会 Foliated Spaces, Tilings and Group Actions 2024 への招待講演については,対面参加が困難となり,オンライン講演にせざるを得なかった.このように,計画遂行のための科研費使用に関して未だに困難が継続している.また2023年度に予定していた海外渡航は中国訪問1件以外は中止とせざるを得ず,海外渡航滞在費の高騰も相俟って,研究の進展への障害が続いている.国内の研究者と行っている等質中心アファイン平面曲線のなす空間の研究(黒瀬俊および藤岡敦との共同研究)に関しては,オンラインを通じての研究連絡を重ねており,順調な進展を見込んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
先に述べたように,新型コロナウイルス感染症拡大の影響により研究の進展が大幅に遅れている.2024年度には,1)カントール集合をコロナ空間とした指数定理(夏目利一との共同研究);2)等質中心アファイン平面曲線のなす空間の研究(黒瀬俊および藤岡敦との共同研究).;をさらに進展させて,研究を完成水準にまで到達させ,成果報告を行うことを目標とする.夏目利一との共同研究についてはプレプリントを執筆中である.さらに黒瀬俊および藤岡敦との共同研究については,2024年度前半中に取りまとめの研究連絡を予定している.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により,研究集会の開催中止や開催規模の縮小傾向が依然として続いており,旅費使用額が大幅に減少したことである.特に,予定していたコペンハーゲン(デンマーク)への海外渡航が中止となったことは大きな要因である(代わりに研究協力者に参加を依頼し,渡航費用を本研究費より支払った).2024年度にこの状況が改善されるものと期待しているが,円安等の新たな要因により,海外渡航滞在費の高騰などの別種の困難が生じつつある.研究集会への参加方法を工夫したり,オンライン等の手段により研究連絡をより密接に行うことで使用計画の達成を図る予定である.
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