2020 Fiscal Year Research-status Report
Study of quantum cohomology and periods using tropical geometry
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20K03582
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
入谷 寛 京都大学, 理学研究科, 教授 (20448400)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 量子コホモロジー / トーリック軌道体 / 周期 / ミラー対称性 / ガンマ類 / フーリエ変換 / ファインマン積分 / グロモフ・ウィッテン不変量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はミラー対称性のA模型(シンプレクティック幾何)側に現れるガンマ整構造の起源をトロピカル幾何の観点から明らかにし,それを通じて,量子コホモロジーのガンマ予想や双有理な多様体のグロモフ・ウィッテン理論の間の解析接続の関係を調べることである. トーリック軌道体の非クレパントな双有理変換の下で量子コホモロジーおよびグロモフ・ウィッテン理論がどのように変化するかを調べた論文を国際雑誌SIGMAで出版した.この論文ではトーリック軌道体の重み付き爆発の場合に,量子コホモロジーの分解がOrlovによる導来圏の半直交分解からガンマ整構造を通じて誘導されることが示されている.この論文のテーマに関連して,ある多様体の爆発として得られる多様体の量子コホモロジーを,元の多様体の量子コホモロジーと爆発の中心の量子コホモロジーからどのように復元するか,という問題をリーマン・ヒルベルト問題の解として記述する予想を与えた. 物理学者のKlemmらのグループによりバナナ型のグラフに付随するファインマン積分の漸近展開が,あるファノ多様体のガンマ類と関係することが予想され,数値的に検証されていた.過去に示したガンマ予想に関する等式をフーリエ変換することで,報告者はKlemmらの予想を示し,プレプリントとして公表した.さらにこの方法を推し進め,より一般にガンマ予想を(量子微分方程式の)フーリエ変換の観点から調べた.ファノ多様体に対して,その反標準切断として(あるいは標準束の全空間として)カラビ・ヤウ多様体を得ることができるが,これらのファノ多様体とカラビ・ヤウ多様体の量子コホモロジーはある種のフーリエ変換で結びついている.本研究はファノ多様体に対するガンマ予想とカラビ・ヤウ多様体に対するガンマ予想とを結びつけるものであり,今後の応用が期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非クレパントな双有理変換の下での量子コホモロジーの変化を,ガンマ整構造と関連付ける重要な成果を含む論文が出版された.また,ガンマ予想とフーリエ変換との関係を調べ,ファノ多様体とカラビ・ヤウ多様体に対するガンマ予想の関係を与えた.
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Strategy for Future Research Activity |
双有理幾何と量子コホモロジーの関係をさらに深く調べる.また本年度に得られた結果をトロピカル幾何の言葉で解釈し,その一般化を試みる.さらに,同変量子コホモロジーや量子K理論の研究も進める.
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Causes of Carryover |
本年度は,新型コロナ感染拡大のため,海外での研究打ち合わせや,海外からの研究者招聘ができなかった.そのため次年度使用額が生じた.次年度も新型コロナ感染状況に改善が見られない場合は,海外出張が同様にできないと考えられるが,その場合は研究員の雇用に使用する計画である.
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Research Products
(10 results)