2023 Fiscal Year Annual Research Report
Construction and uniqueness of asymptotically symmetric Einstein spaces
Project/Area Number |
20K03584
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 佳彦 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (00710625)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 微分幾何学 / リーマン幾何学 / アインシュタイン方程式 / 漸近的対称空間 / 共形幾何学 / CR幾何学 / 放物幾何 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、漸近的対称アインシュタイン空間の存在と一意性に関する研究に新しい展開をもたらすことにある。またその過程において、漸近的対称アインシュタイン空間と無限遠境界の幾何学の相互作用を調べ、それがいわゆる放物幾何の理論とどのように整合的に理解されうるか明らかにすることを目指した。 2022年度の研究で、われわれはAHアインシュタイン空間と無限遠境界の共形測地線との関係性を探り、両者が写像の繰り込みエネルギーの概念を通じて密接に関連していることを見出したが、このとき無限遠境界には正定値共形類が備わっている必要があった。2023年度の研究ではその制約を取り除き、不定値共形類の場合にも同様の結論が成り立つことを確かめた。この拡張には反ド・ジッター平面を定義域とする写像の繰り込みエネルギーを用いた。以上について論文の原稿を年度末までにまとめ、専門誌への投稿の準備を整えた。 2023年7月に中国、8月にアメリカ、9月に京都で開催された国際研究集会に参加し、それぞれで研究成果を発表した。また中国とアメリカで行われた会議では、発表だけにとどまらず、同分野の研究者とのあいだでこれからの研究協力について具体的に討議した。その際にテーマとなったのは、上記の共形測地線に加え、漸近的対称アインシュタイン空間のタイプ遷移である。共形測地線に関する研究を発展させるにあたっては、2021年度から2022年度にかけて本課題で実施した、「CRキリング作用素」の放物幾何の理論の枠組みにおける位置づけに関する研究を援用することが見込まれる。
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