2021 Fiscal Year Research-status Report
Complex structures and non-Kaehler structures on compact solvmanifolds
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20K03586
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山田 拓身 島根大学, 学術研究院理工学系, 教授 (40403117)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 可解多様体 / リー群 |
Outline of Annual Research Achievements |
偶数次元のコンパクト可解多様体上でどのような複素幾何的現象が起こるかを、特に非ケーラー構造などの微分形式を持つ場合を目的として研究を行っている。令和2年度は、可解多様体の特別な場合であるベキ零多様体の複素構造について研究を行い、旗多様体の複素構造を関連付けることができた。 これは、ベキ零リー群の左不変複素構造はその商空間であるベキ零多様体上の複素構造を誘導し、また対応するベキ零リー環の複素構造と一対一に対応すること、また一方、旗多様体は特に簡約多様体であるので、各点の接空間は対応するリー環の部分ベクトル空間と同一視することができ、旗多様体の不変複素構造は各点での接空間の複素化の固有空間分解を考えると、各固有空間はベキ零リー環となることを利用できたためである。 令和3年度以降の最初の目的を、ベキ零でない可解多様体の更なる具体例の構成等と計画した。令和3年度の研究概要を述べるためにさらにベキ零多様体について少し述べると、ベキ零リー群が余コンパクト離散部分群を持つためのリー環を用いた必要十分条件が知られており、またべキ零多様体のベッチ数などの位相的あるいはホッジ数などの複素幾何的性質をリー環で述べることことができる。しかし一般の可解多様体の場合には離散部分群に関する上記のような条件がなく、また可解リー環のみに幾何的構造が寄らないことが多く、令和2年度のような方法が利用できない。令和3年度は、まず楕円曲面の場合を参考にし、複数の余コンパクト離散部分群を持つ可解多様体の系統的な構成ができた。この際に複素可解リー群でなく、左不変な複素構造をもつ可解リー群を利用することが構成の重要なアイデアとなった。また代数曲面や局所共形ケーラー構造を持つ可解多様体の研究の調査等も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非ケーラー構造もつ可解多様体の複素幾何的性質までは研究が進まなかったが、当初の計画通り可解多様体の系統的な例の構成ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
構成できた可解多様体の例で具体的な計算等やベキ零多様体の場合を参考に研究を推進させる。特に可解多様体はトーラス上のベキ零多様体をファイバーとするファイバー束の構造を持つことが本研究の推進のために重要と考える.
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Causes of Carryover |
コロナの影響で研究集会がインターネット上で行われることとなったり、研究打ち合わせや情報交換もインターネット上で行ったため、主に旅費が必要なくなったため次年度使用額が生じた。今年度はインターネットにおける情報交換が行なすい環境の整備や、時期を選んでの対面による研究打ち合わせに使用予定である。
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